『続 窓ぎわのトットちゃん』 黒柳徹子 317
「窓ぎわのトットちゃん」は、徹子さんが幼少期を過ごした「トモエ学園」での思い出を描いた作品でした。続編であるこの本は、その後の日本が戦争に突入してしまったころの話から始まります。
戦争が激しくなって、お父さんは徴兵されてしまいました。ご近所では疎開する家が増えてきたけれど、黒柳家には疎開する田舎がなく、お母さんは考えました。とにかく東京から逃れなければいけないと。そして北へ向かいました。満員の列車に家族で乗ろうとしたのだけど、徹子さんだけ列車に乗りそこなってしまったのです。目的地で待っているからというお母さんの言葉を信じて、徹子さんは次の列車に必死の思いで乗り込んだのです。
親戚でもなんでもない知人のおじさんの親切で、小さな小屋で暮らすようになった黒柳家。お母さんは仕事を見つけ、食物の心配をしないで済む生活を終戦まで送ったのです。戦後も、お母さんは担ぎ屋をしたり、お祝いの席での歌手をしたりしてお金を稼ぎ、ついに東京へ戻ることができたのです。
お母さんが、4人の子どもたちのために奮闘する姿は、子どもたちから見ても頼もしかったのでしょうね。お父さんがシベリアから帰るまでに東京に家を再建しなければというお母さんの頑張りは凄いなぁ。
徹子さんは大人になり、NHKの養成所へ入ってからのお話では、徹子さんの独特のキャラクターをわかってくれない人がやっぱり多かったんだなということを感じました。でも、大岡先生や、飯沢匡先生など、彼女の個性を理解してくれる人が現れてホントに良かった。こういう人たちがいなかったら、今日の徹子さんの活躍はなかったんですもの。
徹子さんが出演していた「魔法のじゅうたん」とか「ブーフーウー」とか懐かしいお話に、子どもの頃に「魔法のじゅうたん」に乗りたいなぁって思いながら見ていたことを思い出したし、「ブーフーウー、三匹の子豚♪」の主題歌は今でも歌えます。
若いころに過労で倒れて入院をしたときに、お医者さんに聞いた「一生病気をしないようにするにはどうすればいいのですか?」という問いかけはすばらしいですね。「自分がやりたいと思うことだけをすることです」という回答を、身をもって実践されてきた徹子さん。ご自身の目標である「100歳まで生きる」は、きっと実現されるでしょう。これからもずっとお元気で!
2979冊目(今年317冊目)
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