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『図書館がくれた宝物』 ケイト・アルバス 325

図書館がくれた宝物
A place to hang the moon

ケイト・アルバス
Kate Albus

櫛田理絵(くしだ りえ) 訳

徳間書店

英国 

2021年ニューヨーク公共図書館ベスト・ブック・オブ・ザ・イヤー(児童書部門)

 1940年、英国とドイツの戦争は始まったばかりでした。12歳のウィリアム、11歳のエドマンド、9歳のアンナの3人は幼いころに両親を亡くし、祖母の家で暮らしていましたが、その祖母も亡くなってしまいました。両親が残した遺産はあるけれど、後見人がいないとそのお金に手を付けられません。そこで、弁護士のエンガーソルさんは、3人に学童疎開に参加することを提案しました。疎開先で後見人になってくれる人が見つかるかもしれないという期待を胸に、3人はロンドンから汽車に乗ったのです。

 大勢の子どもが列車に乗って田舎の町へ辿り着きました。集会所に全員が集められ、町の人が気に入った子を家に連れて帰ります。でも3人一緒にという条件はなかなか厳しいのです。3人は何とか預かってもらえる家が見つかったけど、そこの家の双子の男の子にひどい仕打ちを受けてしまいます。でも、文句を言って家から追い出されないように、我慢の日々が続きます。

 午前中は学校があるのでいいのですが、昼食後に家に戻るのはどうにも気が重いのです。そんな3人が見つけたのは町の図書館でした。ここの司書の女性はとても優しくて、面白そうな本を紹介してくれます。ここは3人にとって、とても大事な場所になりました。

 

 日本のような集団疎開ではなく、個人単位でホームステイするという仕組みなので、どんな家に行くのかはわかりません。子どもを預かることでお金が出るので、そのお金を目当てにしている人もいるのです。疎開先になじめなくて、都会へ戻った子もいたそうです。でも、この3人には戻る家がないのです。ウィリアムはまだ12歳なのに、自分たち3人の身の振り方を必死に考え続けなければならないのがつらかったでしょうね。とはいえ、3人でいたからこそ、何とかなったのかもしれません。

 

 今も世界の何処かで戦争が続いています。戦争によってつらい思いをするのはもうたくさんだと思った人が大勢いたはずなのに、どうして何度でも繰り返してしまうのでしょうか。戦争によって傷つけられた子どもたちのことを考えて、もうお終いにしようと思わないのは何故なのでしょうか。

2987冊目(今年325冊目)

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