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『一線の湖』 砥上裕將 346

一線の湖

砥上裕將(とがみ ひろまさ)

講談社

NetGalleyJP

 青山くんはイベントで先輩たちと一緒に水墨画を描くことになりました。なぜか先生が「青山くんが最初に書きなさい」というのです。ステージに立つまでは先生がそう言っているのだからとだけ思っていたのですが、いざ絵を描きだしてみると、プレッシャーに負けてしまい、自分は何をすればいいのかさえ分からなくなってしまったのです。

 大学3年生になり、水墨画の腕もそれなりに上がり、将来はどうしようかと悩んでいたところでしたが、この失敗によって、決定的に自信を失ってしまいました。

 そんなある日、兄弟子の湖峰さんから手伝って欲しいと言われて、小学1年生に水墨画を教えることになりました。子どもたちにどう教えればいいのかと悩んでいるうちに、子どもたちのペースに巻き込まれていきます。

 子どもたちの素直な気持ちに触れ、彼らに教えようと思っていたのは自分の思い上がりだと気づき、逆に子どもたちからたくさんのことを教えてもらった青山くんは、久し振りに楽しい時間を過ごすことができました。

 

与えられた自由を使いきれないときもある。自由に挑むには、自由と同じくらい大きな自分が必要だ。いまはそのときではない。P270

 誰かに決めてもらう事は簡単だけど、それを束縛だと感じたら、そこには不自由しかありません。でも、自由にしていいよと言われると、どうしていいのかわからなくなるのです。自由であるということは、自分ですべてを決めなければならないということでもあるのだと気づいたとき、自由がとても重いものに感じたのです。

 でも、自由ってそういうものではないはずと考えれば考えるほどわからなくなってしまう。そんな時には、すべてを放りだしてしまうということも大事なのかもしれません。

 

 青山くんは、「線は、僕を描く」の時の気持ちを忘れていたのかもしれません。それを思い出させてくれたのは、やっぱり湖山先生でしたね。

 彼がこれからどんな未来を生きていくのか、それがとても楽しみです。

#一線の湖 #NetGalleyJP

3008冊目(今年346冊目)

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