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『こえてくる者たち 翔の四季 冬』 斉藤洋 335

こえてくる者たち 翔の四季 冬

斉藤洋(さいとう ひろし)作

いとうあつき 絵

講談社

『かげろうのむこうで 翔の四季 夏』
『黒と白のあいだで 翔の四季 秋』に続く
「翔の四季」シリーズの3巻目

 翔のクラスに背が高くて不思議な感じの鞍森杏(くらもりあん) という転校生がやって来ました。彼女の家が翔の家のそばなので、学校の帰りに一緒に帰るようにと先生に言われて、2人だとちょっと気まずいかもしれないので、親友の涼と3人で話をしながら帰ることにしました。しゃべってみたら、変な緊張感なしにしゃべってくれる人でホッとしました。

 最近、学校の近くで女性のスカートが切られる「かまいたち事件」が頻発していたり。涼は相変わらず不思議なものが見えているようだし、翔も音が聞こえてくるのに時間差が起きたりしていました。そして杏からは、彼女が飼っているハムスターが、時々消えるという話があったのです。不思議なことがいろいろと起きていて、どうしてこんなことばかり起きるのかなぁ。

 3人ともひとりっ子だから、なんとなく「親からの期待の大きさがうっとうしい」ということを感じています。大人との距離の取り方が微妙だよねと思っているせいか、話が合う感じです。わたしもひとりっ子だから、そういう所はとてもよくわかります。本当は思ってもいない模範解答をしてみたり、聞かなかったふりをしたり、「子どもだって気を使ってるってことを、どうして大人はわからないんだろうね」って感じが伝わってきます。

 聞いているようで聞こえていないこと、見える人にしか見えないもの、はっきりとはわからないこと、そういうものが自分たちの周りにはたくさんあるんです。それを説明しても、わからない人にはわからないんです。翔と涼が、お互いの不思議なことが理解できるのは、どちらも「わかる」人だからなのでしょうね。もしかしたら杏もそういうひとなのかもしれません。

・かげろうのむこうで 翔の四季 夏
・黒と白のあいだで 翔の四季 秋

2997冊目(今年335冊目)

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