『わたしが少女型ロボットだったころ』 石川宏千花 365
たづちゃんはこれまで、パパが死んだとか別れたとかいう話を聞いたことがないし、おばあちゃんとママが仲良くないこともあって、ずっとママと2人で暮らしてきたから。たぶん自分はママがどこかで買ってきたロボットなんだって思ったんです。
ロボットだからご飯を食べる必要なんてないって思ってからずっと、食事は摂っていません。ご飯はいらないって話をしてから、ずっとママの機嫌が悪いので、なるべく近寄らないようにしています。
自分はロボットだってママに言っても、きっと反論されるだけだから言っていません。でも、同級生のまるちゃんにだけは話しました。まるちゃんは、だまって聞いてくれました。そして、「そうか、たづはロボットなんだ」って言ってくれたんです。
たづちゃんが自分はロボットなんだって思ってしまったのは、自分の存在が母親から軽く見られているという思いからなんじゃないかなぁ。母親は娘を愛してはいるけれど、子どもなんだから親の言うことを何でも聞くものだって勘違いしちゃってる。娘だって1人の人間なんだという感覚がないんでしょうね。だから娘の方が親とのコミュニケーションを諦めちゃっている。ホントは母親からの愛が欲しいのにね。
だから、どんなことを言おうと肯定してくれるまるちゃんの存在がとっても嬉しかったんだろうなぁ。まるちゃんがどうしてこんなに親身になってくれるのかが分かったあたりから、たづちゃんの気持ちもいい方向へ向かったような気がします。
実は重い話なんだけど、明るい未来が見えたラストでヨカッタ。
3026冊目(今年364冊目)
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