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『つながらない覚悟』 岸見一郎 349

つながらない覚悟

岸見一郎(きしみ いちろう)

PHP新書

NetGalleyJP

仕事は在宅でも可能だが「やはり」対面でないとできないと考えて出社を強いるのは表向きの理由でしかない。その本当の理由も本人もわかっていないのかもしれない。それは自分の目の届く範囲で部下に仕事をさせ、支配したいからである。出社するように指示するのは、仕事の効率とは関係ない。P70

二十分で終わるのであればオンラインでいいのに、京都から東京に来ることを公務員に強いる政治家は、仕事そのものでなく、会いに来させることで自尊心を満足させたいのだろう。P72

つながりを強制することには支配という目的があり、有用性や便利さよりも、管理したいのである。P73

 仕事だけではなく、日常のどんな場面であっても、とにかく一緒にやろうという圧力をかけてくる人は必ず存在します。ボスが仕切る行動に快く参加できているならいいのだけれど、それが苦痛であるならそれはパワハラなのです。たとえば、ママ友のランチ会や会社の忘年会であっても、嫌だと思うなら、そこから逃げるしかありません。そうしなければ、相手は力づくで襲い掛かって来るのですから。

 

親が子どもに反抗させるようなことをいわなければ、子どもは反抗しない。反抗期は誰にでもあると考える人は多いが、反抗期というものはなく、反抗させる親がいるだけである。P94

親の言うとおりに生きる子供は優しいのではない。自分の人生を生きることの責任を取りたくないのである。P108

 わたしが子どもだった頃、わたしは親から降りかかってくる理不尽なことからいかにして逃れるかばかり考えていました。だから親からは反抗期がない子だと思われていました。実はそうではなく、親にばれるような反抗の仕方をしなかっただけなのです。とにかく親の支配下から逃れることを考え、早く大人になって家から出たいとばかり考えていたのです。

 

自分の考えだと思っていても、実際は自分で考えたわけではない。それなのに、他の多くの人がいっていることが自分の考えだと思い込んでしまう。P125

子どもの頃から親に叱られて育ってきた人は人の顔色を窺うようになり、今何をしなければならないのか、自分自身で判断できなくなってしまう。叱られなくても、親の期待を満たすために生きていると、後になぜこんなことをしているのか迷った時に、自分では何も判断できない。皆がやっているから勉強するというのでは答えになっていない。P135

閉鎖的な共同体は、自分たちとは違う考えをする人を排除しようとする。中にいる人たちは仲いいが、「異端者」は排除される。宗教であれば正統派は異端者を排除する。P202

 自分の考えが、実は誰かのコピーであるということを自覚するだけでも、考え方は大きく変わります。自分は知らないうちにこんなに洗脳されていたのかということがわかって来ると、モノを考える大前提が変わってきます。

 日本人だからとか、女だから、男だから、若いから、年寄りだから、何らかの型にはまった生き方をしなければならないなんて、誰に命令されたんだろう?ホントはもっと自由でいいんじゃないの?

 

 「人間関係を大事にしよう」という考えがエスカレートすると、依存とか支配とかという関係が生まれるかもしれません。

 「つながり」のために自分がないがしろにされてしまっているとしたら、楽しいわけがないのです。そこまで無理して、何の意味があるんだと自問自答し、あえて「つながり」を切る覚悟も必要なのでしょうね。

 何年か前に、友達だと思っていたある人との関係がおかしくなったときに、仲の良い友達に言われた「あの人はああいう人だから」という言葉に救われたことを思い出しました。ムリしてつながっている必要なんかないんだと思って関係を切ったら、ホントに気が楽になったのですから。

#つながらない覚悟 #NetGalleyJP

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