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『藍色ちくちく』 高森美由紀 341

藍色ちくちく

魔女の菱刺し工房

高森美由紀(たかもり みゆき)

中央公論新社

 刺し子は、布を補強することから始まりましたが、どうせ縫うなら美しい模様にしようと考えた人がいたのでしょうね。幾何学模様が美しい作品を良く目にします。これまで「こぎん刺し」は知っていましたけど、「菱刺し」という刺し子の名をこの本で初めて知りました。

南部菱刺しは平織り麻布の縦の織り目に対し、規則的に偶数の目を数えて刺すことで、横長の菱文様を作り出していきます。
これに対し、奇数の目を数えて刺していくものが、同じ青森県の津軽地方につたわるこぎん刺しです。


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 この物語は南部に住む人たちの物語です。

 高校2年生になったけど進路が決まらない綾、部活もしていないし、暇は持て余してるけど、どうしていいのかわからない毎日が続いていました。そんな彼女が雨宿りで入った公民館で見かけた菱刺しに興味を持ったのです。

 より子先生に手ほどきをしてもらって菱刺しを始めたら、自分でも不思議なほど没頭してしまいました。先生にそう話すと、頭の中の余計なものがなくなるから菱刺しは楽しいんだよと教えてくれました。

 南部せんべい屋のおばさんや、姿を見せないより子先生の孫とか、様々な人たちが菱刺しを通してつながっています。

 今は歳を取ってしまった人たちにも若い頃があり、様々な出来事を思い出すと、いつもそばに菱刺しがあったのです。

 同級生の、オネエな感じの賢吾がいい味を出してます。わたしの頭の中では「きのう何食べた?」のケンちゃんが高校生に戻ったイメージが湧いてきました。

 

1章 魔女の菱刺し工房

2章 今日の良き日の矢羽根

3章 ひょうたん

4章 真麻の聴色(ゆるしいろ)

 わたしも菱刺しをやってみたいな。

3003冊目(今年341冊目)

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