『メメンとモリ』 ヨシタケシンスケ 24-1
・メメンとモリと ちいさいおさら
・メメンとモリと きたないゆきだるま
・メメンとモリと つまんないえいが
この2人の姉弟、とっても単純なことを話しているんだけど、それがとても哲学的なの。
モリに「ごめんなさいメメンがつくったおさらをわっちゃった」と言われて、「いいのよ、どんなものでもいつかはこわれたりなくなったりするんだから」と返すメメン。そういう返事を想像していなかったモリはびっくりしちゃう。えっ、それでいいの?って思っちゃう。
だってさ、わたしたちずっと今のままなわけじゃないよね。いつかは大人になるだろうし、楽しかったり、悲しかったり、元気だったり、ヘトヘトだったり、絶対に明日も生きていられるってわけでもないし。
いつかだれかがわたしのかわりに
いいことも わるいことも してくれるわ。
だからわたしも いま、いつかのだれかのかわりに
いいことも わるいことも してあげるの。
そんなふうに考えたら、なんだかおもしろいわよね。
自分がこんな風かなって想像していたものを、実際に見てみると全然違っていることってよくあるよね。
子どもの頃に毎日歩いていた道を、大人になって歩いてみると意外と狭い道だったことに驚いたり。隣の人が食べているのを眺めていたときにはおいしそうに見えたのに、実際に食べてみたらおいしくなかったり。自分のイメージと現実って全然違うことがよくあるでしょ。
つまり人は「思ったのとちがう!」ってびっくりするためにいきているのよ。
そうだよねぇ。実物をみて「あれ?」ってことよくあるもの。逆に今まであって当然と思っていたものを再認識したとき、例えばしばらく外国へ行って日本に戻ってきた時に、「ホカホカごはんっておいしいなぁ」って思うじゃない。そういう「びっくり」って大事だと思うの。
この本を読んでいたら、とっても救われた気がしたの。そうだよね、生きるってそういうことだよねって思えたの。ちょっと涙も出てきちゃった。
メメントモリとは、ラテン語で「死を想え」、今は生きている自分もいずれは死を迎えることを忘れるなということを忘れずに生きていかなくっちゃ!
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