『明治大正昭和化け込み婦人記者奮闘記』 平山亜佐子 24-12
明治時代、新聞社の記者は男ばかりの世界で、そこへやってきた女性たちは、いきなりみんなからジロジロ見られて、下を向いて挨拶するのがやっとだったそうです。記者として採用されても、給与は半分だし、扱える記事も家事などの女性向きのものばかり、そんな中で何とか面白い記事を書こうと知恵を絞った人たちがいたのです。
女性記者が女中さんや行商人に化けて記事を書こうというのは、なかなか凄いアイデアだったと思うのです。道端や電車の中でも、大きな声で人の悪口や噂話をしている人がいます。それを参考にして潜入する家を選ぶのです。
立派なお屋敷であろうと、大きな商家であろうと、その内部には必ず悪口やら噂話があって、そばでそれを聞いている人がいるなんて感覚はなくペラペラとしゃべっている人がいて、そこから記事が生まれていったのです。
かなり情報が集まりやすかったのはカフェやダンスホールの女給さんだというのも、とってもよくわかるなぁ。長期間勤めていたら漏らせない情報も数日か1週間くらいしかいない潜入取材ですから、いろんな面白い話が集められたのでしょうね。
この本で紹介されているような人は記録が残っていたということですけど、記録に残っていない、あるいは残したくない人がさぞかし大勢いたのでしょうね。もしかしたら女性スパイもいたかもしれません。
流しの三味線弾きとか、絵画モデルとか、ダンスホールのダンサーとか、様々な職業が紹介されています。淡谷のり子さんが美大のモデルをしていたというのは有名な話ですけど、こういう仕事で必死にお金を稼いでいた人たちがいたということを、日本の近代の歴史として残して欲しいなと思います。
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