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『正義の味方が苦手です』 古市憲寿 24-30

Seiginomikata

正義の味方が苦手です

古市憲寿(ふるいち のりとし)

新潮新書980

欧米で機械化の進んだ理由に人件費の高さが挙げられる。多少の初期投資があっても、機械に任せた方が安上がりなのだ。一方で日本は人件費が安く、かつ良質な労働者が多い。日本だけ人間の時代が続いたりして。P29

 海外で単純作業であれば、いかにして手を抜くかを考えますけど、日本人はそういう仕事であっても真面目に働きます。これが給与水準が上がらないことの原因になっているのです。

 日本人の生真面目さが機械化・自動化の遅れにつながっているのに、それを改善しようとしないのは、雇用側にとっての利害が第一だからなのです。それが非正規雇用で働く人が増える原因にもなっています。

 かつて半導体や様々な技術を開発してきた日本ですが、低コストということに固執して安い労働力の外国へ生産工場を移し、結果、日本が空洞化してしまいました。そして、気がついたら日本の方が低コストの国になってしまったのです。

 「おもてなし」という幻に囚われている日本ですから、「日本だけ人間の時代が続く」というのは、ホントにあるかもしれません(汗)

 

アジア太平洋戦争の末期、日本の人びとは空襲の危機に怯えて暮らしていた。しかし高い確率で空襲を避けれる方法が存在した。それは軽井沢や箱根へ逃げることだ。スイスなど中立国の外国公館や外交官が疎開するホテルがあったので、アメリカとて、おいそれと空襲ができなかったのである。P180

 戦争中、学校が軍需工場になっていたところがたくさんありました。ですから、そういう場所が空襲を受けました。でも、その近くに住んでいた人たちにとって学校は避難場所だったのです。どこが安全な場所なのか危険な場所なのか、その知識を持つか持たないか、それが生きるか死ぬかを決めてしまうのです。

 

 この本は、週刊新潮で2021年1月~2022年7月に掲載されていたコラムをまとめたものです。ですからコロナ禍に関する話題がかなりあります。記事対してこの本が出版された時点での解説が数行加えられており、当時感じたことと、後になって明らかになったことの比較が面白いなと思いました。

 でも、嫌になってしまう話もいろいろあります。特に、2021年のオリンピック開催に関して、本当は観客を入れてもさほど問題はなかったはずだけれど、世間の人たちが求める安全というイメージに合わせるために無観客にして正解だったのだという尾身さんの話には、ガックリです。

3056冊目(今年30冊目)

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