『木工少女』 濱野京子 24-22
父親が1年だけ中学校の代用教員をすることになって、小学6年の美楽(ミラク)も一緒に峯川村という林業の村へやって来ました。
クラスの中で自分だけ浮いている感じだし、村中からよそ者扱いされている感じがとっても嫌だし、コンビニはないし、遊びに行く場所もないし、ミラクは、こんな田舎からさっさと東京へ帰りたいと思っていました。
そんなある日、山の中で木工の工房を構えているデンさんに出会って、「あっ、この人となら気が合いそう」と思った時から、ミラクは木工に興味を持つようになりました。そして、東京へ帰りたいという気持ちが少しずつなくなっていったのです。
日本は森林大国なのにな、採算が合わないから森の手入れができない。結果的に森が荒れる。手入れをしなければよい木材も得られない。
長島クンからこんな話を聞かされて、ミラクはいろんなことを考えるようになりました。この村は林業で成り立っている村だけど、大変な割にお金にならないから、高校や大学へ進学することでこの村を出たらそれっきり帰ってこない人もいます。でも、林業を守っていこうと考えている山田くんみたいな人もいます。
別に、家を背負うこともないだろうに。カタツムリでもあるまいし。川越優美は川越優美なんだから
頭もいいし、サッカーも上手だし、ピアノも上手、でも事あるごとにイヤミな言葉を投げかけてくる優美のことを、ミラクはずっと嫌な奴だと思っていました。でも、彼女の他人に見せない素顔を知ってビックリしてしまったんです。
この村を守っていく立場の家の子なので、外へ出るという選択肢はない優美から見れば、ミラクのように気楽な立場の子はいいなって思えてたんだろうなと思えてきたんです。
それ、カタツムリじゃなくヤドカリだろ!と突っ込みつつ、ミラクはいいこというジャンって感心しちゃいました。
小学校を卒業したら、ミラクはいったんは東京へ戻るけど、いつの日かここへ戻って来るかもしれません。
この村の魅力を知ってしまったから、大事な友達がいるから、その時ミラクは木工を極めようと思うのかなぁ?もしかしたら優美と一緒に何かしでかすかもしれないし、未来の彼女たちの話も読んでみたいなと思うのです。
3048冊目(今年22冊目)
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