『運動しても瘦せないのはなぜか』 ハーマン・ポンツァー 24-33
運動しても瘦せないのはなぜか
BURN
New research blows the lid off
How we really burn calories, lose weight, and stay healthy
ハーマン・ポンツァー
Herman Pontzer
小巻靖子(こまき やすこ)訳
草思社
「運動しても1日の総消費カロリーは増えない」というのは実に衝撃的な発見です。痩せるためには摂取カロリーを減らすしかないのです。でも、これを知って運動なんかしなくてもいいんだと思ってはいけません。運動しないことで、余剰のカロリーが体内での炎症を起こすのです。これがアレルギーや関節炎、動脈疾患のほか、さまざまな「現代病」の原因と考えられるというのです。
わたしが子どもだった半世紀前を思い起こしてみれば、肥満の人はさほどいませんでした。アレルギーもアトピーもうつも花粉症も、今ほど大勢の人を悩ますものではありませんでした。現在、自分のまわりを見まわしてみただけでも、炎症が原因だと思われる症状が確かに増えています。
定期的に運動をしていると、脳が食欲をカロリーの必要量にうまく合わせることができるようなのだ。ここでは炎症も作用しているのかもしれない。カロリーの高い、脂肪たっぷりのものを食べ過ぎると視床下部に炎症が生じる。すると、空腹、満腹を知らせる信号の調節が上手く行かなくなり、体重が増える。少なくともラットを使った研究ではそうなった。おそらく体を動かさないことで慢性的な炎症が生じ、脳に似たような悪影響が及ぶのだろう。P287
自然界ではハチミツ、狩りの対象となる動物、果実などカロリーの高い食物は豊富とはいえず、葉っぱのような低カロリーの食物に比べ、手に入れにくい。ところが、現代のスーパーではまったく逆のことが起きている。油や甘味料、ジャンクフードのような加工度の高い食品は1オンス(約30g)当たりのカロリーが高く、しかも1カロリー当たりのコストが低い。P346
昔、太っているというのはお金持ちの象徴でした。でも、現在の社会で太っているのは低所得者です。それは安い食品の方がカロリーが高いからです。低カロリーの健康志向の食品は高価格で、肥満を気にする高所得者用のものとなっています。
手軽に食べられる低価格の加工食品ばかり食べて運動をしなかったら、確実に太り、体内で炎症が起き、病気になるのです。
食べるものに気を使い、運動をすることで健康を維持できるのに、そういうことに興味を示さない人が多いのは何故なのでしょうか。面倒くさいから?運動が嫌いだから?薬を飲んでれば大丈夫だから?
もしかしたら、そういうことを考えるという部分も炎症によって動かなくなっているのかなぁ。脳に悪影響が出てそれが思考をストップさせているのだとしたら、それは恐ろしいことです。そこから逃げるには、動くしかない!
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