『しゃべれどもしゃべれども』 佐藤多佳子 24-67
噺家の今昔亭三つ葉さん、まだ二ッ目なんですけどね、師匠からは「俺のマネばっかりしてんじゃねぇ」と叱られっぱなしです。そこんとこは自分でも納得している部分があって、どうしたら自分らしい噺ができるのか悩む毎日です。
そんな三つ葉さんに落語を教えて欲しいってもの好きが現れたんですよ、それも3人。いとこの良は二枚目でテニスコーチをしてるんだけど、緊張すると吃音が出ちゃう。小学生の村林くんは関西弁が原因で学校でいじめられてるらしい。紅一点の十河は美人なのに超不愛想。どうやって教えたらいいのやら?ジタバタしているうちに、もう1人、元プロ野球選手の湯河原さんまで加わってしまいました。
三つ葉さんは、とにかく気が短い、女心が分からない、どこへ行くにも着物だから悪目立ちする。落語は大好きだけど上達しない。でも口は悪い。おまけに同居している祖母さんの口が悪い。でも、全部ホントのことだから言い返せない。
三つ葉さんの生徒さん達も、三つ葉さんも、師匠も、お祖母さんも、この物語に登場する人たちは、みんな根はいい人なのよ。それぞれが持っている悩みを上手くことばにできないから、イライラしたり、オロオロしたり、泣いちゃったり、どなっちゃったりするんだなぁ。
そんな人たちが集まってみてわかったことは、困ってるのは自分だけじゃないってこと。そして、みんないいヤツだなってこと。
3093冊目(今年67冊目)
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