ブログ内検索


  • ダメでもいいからやれ。
    体験もしないでお前ら、
    すぐに「ダメだ」って言うのは、
    学校で聞いただけの話だろう。
    やってみもせんで何を言っとるか
    (by 本田宗一郎)

読書Love!

  • 本が好き!
  • NetGalleyJP
    プロフェッショナルな読者
    グッドレビュアー 100作品のレビュー 80%

« 『日本の税は不公平』 野口悠紀雄 24-91 | トップページ | 『ローズさん』 澤井美穂 24-93 »

『夢を叶えるために脳はある』 池谷裕二 24-92

Yumewokanaeru

夢を叶えるために脳はある

池谷裕二(いけがや ゆうじ)

講談社

NetGallyJP

 わたしたちの心臓が動いているのも、記憶も、運動も、すべてが脳によって制御されているのです。でも、それを意識することはほとんどありません。でも、脳があるからこそ生きているのだし、動けるのだし、考えることができるのです。

目が「前」についているのか、目があるから「前」なのか P67

 たとえば「前」という概念1つとっても、なぜそうなのかをキチンと説明することができません。そんな風に、そんなこと当り前だろうと思っていたことが、決して当たり前ではないということがたくさんあるのです。

 

感受性期というものがあってね、発達の過程の、ある一定期間に視覚経験をしなければ、一生見えない。それが、視覚障害者の開眼手術に置いて、大きな問題となる。大人になってから開眼手術をしても、完全な「見え」を手にすることはできない。相当にトレーニングしても、やはりむずかしい。僕らもそうだよね。英語のRとLの聞き分けや、絶対音感の習得は、ある年齢を超えると一気にむずかしくなる。これと同じことで、開眼手術は若いころに行った方が効果が高い。P146

 あるものが最初に見えてきた時には小さかったけれど、近づいていくと段々大きく見えてくるとか、黒く見えている部分が、黒いものなのか影なのかとか、そういうことはすべて経験値なのです。赤ちゃんの時から時間をかけて経験を積み重ねたからこそ「見える」のだということを、ほとんどの人は分かっていません。

 ですから、大人になってから見えるようになった人にとって、そこが大きな問題になるのです。

 「46年目の光 視力を取り戻した男の奇跡の人生」のマイクもそういう人だったことを思い出しました。手術して見えるようになったけれど、それが黒い物体なのか影なのかが分かりません。人の顔の違いを認識することもできません。だから視力を取り戻した後も、相手が誰なのかは声で判断していました。この状態が想像を絶する苦痛なのだそうで、視力を得てから自殺した人が大勢いるのです。

 

脳は記憶を通じて時間を認知している。つまり、記憶がなければ時間はない。もし記憶がどんどんと消えてしまうような状態だったら、もはや、時間を認知できない。P160

 認知症が、まさにこの状況なのです。記憶が消えたら、時間の認識もなくなるわけです。認知症のテストで今日の日付を聞かれます。自分の生年月日は答えられても、今何歳なのかは分からない。今が昼なのか夜なのかもわからなくなるのです。

 

 自分がこう考えたと思うことが、必ずしも自分の考えではない可能性とか、自分の脳のクセとか、脳は分からないことだらけです。だからこそ面白い脳のことを、こうやって知っていくことは素晴らしいことなのです。

#夢を叶えるために脳はある #NetGalleyJP

3118冊目(今年92冊目)

« 『日本の税は不公平』 野口悠紀雄 24-91 | トップページ | 『ローズさん』 澤井美穂 24-93 »

心・脳・身体」カテゴリの記事

日本の作家 あ行」カテゴリの記事

NetGalleyJP」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 『日本の税は不公平』 野口悠紀雄 24-91 | トップページ | 『ローズさん』 澤井美穂 24-93 »