『懲役病棟』 垣谷美雨 24-68
神田川病院の医師である香織と、看護師のマリ江は女子刑務所で半年間務めることになりました。刑務所と聞いただけで、最初はどんな怖い人たちがいるところなのかとビクついていた2人でした。
世間知らずの香織は、病院の摩周湖医師とルミ子医師から例の聴診器を託されていました。それがどんなものかも知らずに受刑者たちに使ってみた香織は、受刑者たちの本当の姿を知って驚いてしまったのです。
女性の受刑者たちのほとんどが、貧困やDVの被害者たちであることに驚き、刑務所を出所しても身元引受人がいないことも多く、再び刑務所へ戻ってしまう人が多いということに憤慨する香織です。
刑務所から出所できても、世間は彼女たちを前科者という目で見るだけで、なぜそうなったのかということには関心がありません。出所後の身の振り方を心配する香織は、あの手この手を使って彼女たちを助けようとします。
第一章 万引き犯
第二章 殺人犯
第三章 覚醒剤事犯
第四章 放火犯
第五章 受刑者からの手紙
解説 村木厚子
「塀の中のおばあさん」の中でも書かれていた「刑務所が介護施設化している」という現実も描かれています。そんな状態の人たちが刑期を終えて、外の世界へ出るということはあるのでしょうか?
解説を書かれている、村木厚子さんは冤罪で長期間拘留された経験がある方です。(詳しくは「あきらめない」をお読みください)
その村木さんが、この小説にリアルを感じると書かれていたのがとても印象的でした。
3094冊目(今年68冊目)
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