『東京23区境界の謎』 浅井建爾 24-64
かつては、両国橋がかかっている隅田川が、武蔵と下総の国境だった。だが、現在は江戸川(下流は旧江戸川)が武蔵と下総の国境、つまり東京都と千葉県の都県境になっている。
かつて隅田川にかかっている橋は千住大橋しかなかったのだそうです。明暦の大火で大勢の人が亡くなったことから、大規模な都市計画が生まれ、隅田川に多くの橋がかけられました。
両方の国を結ぶ橋という意味で名付けられた「両国橋」ですが、江戸の多くの人が両国橋より東に住むようになり、ここに国境があるのは問題があると考え、幕府は1688年、武蔵と下総の国境を隅田川から10km以上東を流れる江戸川へと変更したのだそうです。
江戸には、こういう歴史があったのですね。
荒川放水路が東京の地図を塗り替えた
荒川の氾濫を押さえるために作られた荒川放水路(1930年完成)によって、周囲の地形や地図が大きく変わってしまいました。それによって飛び地が多く生まれたのです。
この本の中では荒川区と葛飾区の飛び地の話が書かれていますけど、江戸川区も大きな影響を受けていて、平井地区だけ切り離されてしまったのです。
わたしは子どもの頃、同じ江戸川区なのにどうして平井だけ離れているのか不思議に思っていたのですが、荒川放水路(現在は荒川)の歴史を知って、なるほどなぁと思った思い出があります。
川が境目になっている場合、川幅の中央に境目があるということになるのですが、そこが土地になってしまった場合に問題が起きます。
例えば銀座の西銀座デパートなどがある場所は、かつては川でした。第二次世界大戦時のがれきをそこに埋めたことによって、そこが土地となり、その上に首都高速道と建物を建てたことから、境界線の問題が生まれたのです。
品川駅が品川区ではなく港区にあるというのは比較的有名ですが、それ以外にも駅名と地名が一致しないところはたくさんあります。
新宿駅は、ほとんどの部分が新宿区にありますが、新宿区と渋谷区の区境が甲州街道なので、南口までは新宿区ですが、甲州街道の南側にある甲州街道改札、新南改札、ミライナタワー改札は渋谷区になるのです。これに気づかずに利用している人が多いでしょうね。
様々な歴史がある地名、その境界線を巡る旅というのもなかなか面白そうです。
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