『ボクは漫画家もどき』 三田紀房 24-87
漫画家になるような人は、子どもの頃から漫画が好きで、絵ばかり描いていましたという人が多いのですが、三田さんはそういう子ではなかったそうです。子どもの頃に剣道を始めて、途中ブランクの時期はあったけれど、大学まで剣道部だったし、就職先は西武百貨店、普通の人の道を歩むだろうと、そのころは思っていたようなのですが、そうはいきませんでした。
父親の具合が悪くなり故郷の岩手へ帰ってみると、父が作った紳士服店には高額の借金があったのです。
(ビッグコミックの新人賞募集の)賞金はなんと百万円。「これだ!」と思いました。
もちろん、漫画など一度も描いたことはありません。それなのになぜと思うかもしれませんが、そのときは、描けるか描けないかなんて考えませんでした。やろうと思った理由は単純です。漫画なら紙とペンさえあれば描くことができる。しかも1人で。これなら、金がないぼくでも挑戦できる。それだけです。
これが三田さんが漫画家になるキッカケだったんです。自分は絵が上手いというわけではないけれど、面白い話なら作れる。だから漫画で一発当てようと考えたところがスゴイ!ここから、漫画家としての人生が始まります。
自分の好きなストーリーが「コメディで始まり、センチメンタルで終わる」パターンだと気づいたのは、マンガの世界に入ってからなんです。
子どもの頃からテレビドラマが大好きで、暇さえあればテレビで向田邦子、山田太一、倉本聰らのドラマを観ていたんです。そして、面白い話の鉄則をいつのまにか見つけ出していたのです。
人気のある漫画作品から、その面白さはどこから生まれるのかも研究しています。つまり、様々なところから人を引き付けるストーリーの種を探し出し、それを彼の作風に反映させているのです。
よく、絵がヘタだと言われてしまう三田さんの絵ですけど、それは本人も認めています。でも、それを卑下していないんです。自分は絵が上手くて漫画家になったわけじゃなくて、実体験を基にしたストーリーが売りなんだから、それでいいと言っています。
最近読んでいる「チ。」の魚豊さんや、矢部太郎さんや益田ミリさんなどの作品を読んでいて思うのは、絵が上手いかどうかよりも、ストーリーの面白さが大事だなってことです。それに、上手くないからこそのインパクトみたいなものもあって、それもまた漫画の大事な要素だなと思うんです。
彼の目的が、<漫画家と作品の価値を最大化する>ことにあって、そのために、<漫画家は、雑誌に描いて原稿料をもらい、単行本で印税を手にする>という、これまでのシステムからはみ出して、新しいビジネスモデルを作りたいということに気づいたんです。
担当編集者だった佐渡島さんが作った「コルク」という会社は、漫画の総合的ビジネスを担おうとしています。佐渡島さんがこういうことを思いついたのも、三田さんの作品から影響を受けたからなのです。
絵が上手くなくても漫画家になれると、三田さんは証明して見せました。ダメな理由を探すのではなく、やりたいと思うからやってみる。そういう三田さんの生き方は、とてもステキです。
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