『世界はなぜ地獄になるのか』 橘玲 24-118
人種や性別、性的指向などによらず、誰もが「自分らしく」生きられる社会は素晴らしい。だが、光が強ければ強いほど、影もまた濃くなる。「誰もが自分らしく生きられる社会」の実現を目指す「社会正義(ソーシャルジャスティス)」の運動は、キャンセルカルチャーという異形のものへと変貌していき、今日もSNSでは終わりのない罵詈雑言の応酬が続いている──。わたしたちは天国(ユートピア)と地獄(ディストピア)が一体となったこの「ユーディストピア」をどう生き延びればよいのか。(書籍紹介より)
弱者を助けるという思想で始まったこと、例えば米国では大学進学率が低かったアフリカ系アメリカ人をより多く大学へ入学させるようにした。そのために、白人の大学進学率が下がるようになり、それは差別だという声が上がる。どちらかを優遇すれば、当然そういう声は上がる。結局はイタチごっごの議論になってしまう。
この本の中でも取り上げられていた、性的マイノリティに関する発言で炎上してしまった J・K・ローリング(ハリーポッターの作者)の件など、問題としているトランスジェンダーのカテゴライズが余りに細分化してしまい、議論に収拾がつかない状態になっていて、これじゃ永遠に結論は出ないなと思えるのです。
「人種や性別で他人を判断してはならない」という差別
そんな世の中だから、そこらじゅうに地雷があって、それを踏んだら自分が炎上してしまうという恐怖と、いつも背中合わせで生きているわたしたち。「最近の若者は繊細だから」なんて、軽く言ってしまう大人たちは、現実を知らないだけなのかもしれません。
この本を読んでいる間、ずっと嫌ーな感じが続いていて、でもこれが現実だと思うとため息しか出てきません。
ダイバーシティ(Diversity)多様性って、難しいなぁ。
3144冊目(今年118冊目)
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