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『謎のアジア納豆』 高野秀行 24-126

Nazonoajianatto

謎のアジア納豆

そして帰って来た、日本納豆

高野秀行(たかの ひでゆき)

新潮文庫

 納豆といえば、日本のソウルフードと信じている人は多いでしょう。でも、高野さんはアジアの様々な場所で納豆に出会ってしまったのです。そして「世界中に納豆は存在するのではないか?」と考えるようになったのです。

 

 ミャンマー、ネパール、中国などの山岳地帯を訪れ、まずは市場の屋台やレストランで納豆を使った料理を味わいます。そして、納豆を作っているところへ行きたいと言うと、ほとんどの人が躊躇なく連れて行ってくれるのです。納豆を作っている作業場では、日本でおなじみの形だけでなく、団子のような形をしたものや、せんべいのようなものが作られているのです。香りや糸の引き方などは様々あれど、どれも間違いなく納豆なのです。

 

 納豆を作るには「納豆菌」が必要です。日本人のほとんどが、納豆菌は「稲藁」にいるものだと信じていますが、アジアを旅した高野さんは驚きます。アジアの国々では、朴葉やシダ、イチジクの葉などで納豆を作っているのです。

 納豆菌は、枯草菌(こそうきん)という細菌の一種で、様々な葉に付着しているものなのだそうです。日本では稲作が盛んだったので稲藁を使用したのでしょうが、アジアの山岳地帯では、その土地で手に入れやすい葉を使用しているのです。特にシダは、様々な地域で使用されています。

 

 そして、もう一つの常識、「納豆と言えば水戸」と思っていますよね。

 明治時代に鉄道が開通し、偕楽園へ観光にやって来る客への土産物として「藁苞(わらづと)納豆」を売ったというのが始まりなのだそうです。藁は湿度や温度を適度に保てるので、長期保存、持ち歩きに便利なのです。

 

 わたしたちが持っていた納豆に関する常識は、どれもこれも覆されていくのです。

 それにしても、納豆があると聞けばどこへでも飛んでいく高野さんの行動力は凄いです。実際に納豆を作っているところへ行って、その工程を細かく記録し、味わい、感動する!

 アジアでの納豆の食べ方は、日本とは違い調味料的に使っているところが多いのが面白いです。そして、日本と同じようにごはんに納豆に卵という食べ方をするところもあって、いやいや、納豆だけでこんなに盛り上がれるとは思いませんでした。

 納豆好きのわたしにとって、この本は見事にドストライクでした。そして最後の方で登場した韓国の納豆、チョングッチャンを食べてみたいなぁと思っています。

3152冊目(今年126冊目)

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