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『図書館は生きている』 パク・キスク 24-148

Toshokanha

図書館は生きている

パク・キスク(朴基淑)

柳美沙(りゅう みさ)訳

原書房

 パクさんは、アメリカの大学を卒業後、図書館の司書として働くようになりました。最初のころは図書館の司書だと認識してもらうのに苦労したそうです。それまで司書=白人というイメージが強かった地域がかなり多かったということですね。

 

 アメリカの図書館が日本とは大きく違うのは、地域の人と一緒になって運営しているという所です。たとえば、新しい本を買う予算が不足している図書館では、市民から寄贈してもらった本を集めた中古書店を開き、その売上を図書館へ寄付したり。外国語の本はそれぞれの国出身のから寄付してもらったり。図書館を利用する人たちが自ら図書館を良くしていこうという活動をしているのだそうです。 

 こんな風に、図書館の中に市民が運営する店を作るというようなことは、日本では無理なのでしょうか?地域コミュニティの場所としても利用していくという発想があってもいいと思うのですけど。

 

 図書館でよくある、「子どもの声がうるさい」という問題に対して、日本なら「館内ではお静かに」という対応ですけど、逆に「声がうるさいと言ってきた人に耳栓を渡す」という対応をしているところがあるというのは、目から鱗です。一方的にうるさいという大人目線だけでなく、子どもたちをノビノビと育てようという目線も、公共施設だからこそ必要なのだと思います。

 

 図書館での様々なエピソードも面白いし、旅行先で必ず図書館を訪れるという話も面白かったです。海外での素晴らしい図書館体験の中で、一か所だけわたしも行ったことがある場所(アイルランド・トリニティカレッジ図書館)があって、とても懐かしい気持ちになりました。

 

あるベストセラー作家が地元の公共図書館に5万ドルを寄付したという記事を読んだ。幼い頃、図書館が大好きな場所だったという彼はこういった。「子どもの頃、私は図書館が大好きでした。なぜなら、私のように比較的貧しい家庭の子が読みたい本を思い切り読める場所は図書館鹿なかったからです」ほかでもない、図書館警察を恐れていた、あのスティーヴン・キングの言葉だ

 自分が図書館によって育てられたという感謝の気持ちを表したスティーヴン・キングのように、成功した人が図書館や学校へ寄付するという文化は欧米では当たり前です。そこには税法の優遇措置なども絡んでくるのですが。これがいいことであるのは間違いありません。日本もそういう国になるといいなぁと、ずっと思い続けています。

 図書館ではそういうことがあるよねと頷きながら読む部分が多いし、外国ではそうなってるの?という驚きもあるこの本、ぜひ読んでみて下さい。

3174冊目(今年148冊目)

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