『鬼平と梅安が見た江戸の闇社会』 縄田一男、菅野俊輔 24-135
池波正太郎が著した時代小説の不朽の名作『鬼平犯科帳』と『仕掛人・藤枝梅安』は、100万人都市へ成長した江戸の町を舞台としている。
町人文化が花開いた時代、江戸はカネと暴力がはびこる闇社会があった。
火付盗賊改として奮闘する鬼平と兇悪人に死の制裁を与える梅安が見た江戸の最暗部とはどのような世界だったのか。
「鬼平犯科帳」も「仕掛人・藤枝梅安」もTVドラマで見ていましたが、どちらも悪事を働く人が必ずしも悪人ではない部分が強く描かれていたような気がします。
江戸は大都市であり、犯罪も火事も多かったのに、それを取り締まる役人は少数しかおらず、火付盗賊改の仕事は過酷を極め、過労死する人もいたそうです。鬼平さんはそんな激務を8年も務めたのですが、職を解かれた3日後に亡くなったというのにはビックリです。
江戸時代という平和な時代に、侍は身分こそ高いということになっていますけど、お金を握っているのは商人ですから、当然社会には矛盾が出てきます。表立っては侍に文句を言えない庶民が、佐倉惣五郎のように幕府に異議を唱えてくれた人を義民とあがめ、鼠小僧次郎吉のように金持ちから盗みをした人な人を義賊として憧れるという気持ちが生まれたのでしょう。
梅安さんのような仕事も、実際にあったのかもしれません。だって、悪いヤツほどいばっているのは、今も昔も同じですから。
上級国民と下級国民の格差を感じる今と江戸時代は、とても似ているような気がします。
近世までのやくざは、博打を生業とする「博徒」と、露天商を営む「テキヤ」が中心だった。しかし、近代にはいると下層労働者から成り上がった新興やくざが登場し、興行との結びつきを深めていった。
相撲や歌舞伎などの地方巡業では、地元のやくざが勧進元となって取り仕切った。やがて映画や流行歌、芝居などの娯楽が登場するが、その興行もやくざの支えなくしては成り立たなかった。
やくざによる興行界の支配は戦後しばらく続いたが、昭和39年(1964年)、警視庁が「組織暴力犯罪取締本部」を設置。やくざが運営する興行会社は締め出され、表立ってやくざ組織が興行に関与する機会は激減した。P127
友人に、そういう興行主の家の子がいて、昭和30年代中頃の話を聞いたことがあります。管轄の大きな劇場に出演する有名な歌手や俳優が家に挨拶に来ていたとか、まだ売り出し中の喜劇役者が家に居候していたりしたそうです。当時はテレビ・ラジオよりも舞台での興業(実演)の方が主力でしたから、芸能人のボディガードのような仕事もしていたようです。
裏社会はいつの世にも存在するものですが、暴力団への取り締まりが厳しくなった今、かえって裏社会は悪質化しているような気がします。「浜の真砂は尽きるとも世に盗人の種は尽きまじ」なのですね。
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