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『運は遺伝する』 橘玲、安藤寿康 24-129

Unhaidensuru

運は遺伝する

橘玲(たちばな あきら)

安藤寿康(あんどう じゅこう)

NHK出版新書 710

 両親の背が高いから、そこの子どもは背が高くなるとか、ウチの家系はみんな高血圧でという話に、多くの人が「そうだね」という反応をします。

 でも、勉強ができるかどうか?という話になると、急に違うことを言い出すのです。「努力すればなんとかなる」ってね。

安藤 遺伝と言ってしまうと生徒が救われないから、遺伝ではないというストーリーにしたいのです。その結果、勉強ができないのはすべて子どもの努力不足か先生の指導力不足のせいにさせられています。本人もそう思い込んで、とことん努力するか、努力できずに敗北感を覚える。先生も自分からドンドン仕事を増やして疲弊していく。P49

 努力して、ある程度成績を上げることは可能ですけど、誰でも東大に入れるわけじゃない。それは他人の場合には理解できる事実なんですけど、自分の家の子だけ特別に考えてしまうから、不幸な結果を生むことが多いのです。

 

 親の資質を引き継いた子どもが生まれてくることと同様に、まったく違う資質を持った子が生まれてくる場合もあります。

橘 かつては子どもが5・6人いる家庭も珍しくありませんでしたよね。兄弟姉妹で全然タイプも違っていて、「なんであの親からこんな子が」と周りが不思議に思うような子供も一人くらいいた。でも、今は一人っ子が普通になってしまって、家庭内の分散(ばらつき)をイメージしにくくなっている。

安藤 まさにそう言うことです。このことはどんな親からも、自分と似た子どもだけでなく、とんでもなく似ていない子、例えば天才やギフティッド、あるいは発達障害の子どもが生まれても不思議はないということを意味します。世界的に有名な指揮者で作曲家のレナード・バーンスタインの両親はまったく音楽の素養がなかったそうで、友人が父親に「おまえはどうやって息子を世界的な音楽家に育てたんだ」と聞いたら「そんなの知るもんか。あいつは勝手にレナード・バーンスタインになってしまったんだ」と答えたという逸話があります(笑)。

橘 昔なら子供に「当たり外れ」があるという”遺伝ガチャ”をみんな自然に受け入れていたけれど、今はひとりの子どもを絶対に「当たり」にしなければならなくなった。そういう強迫観念は益々強くなっている気がします。P67

 遺伝的資質がどう表れるかは、はっきり言って賭けです。2人の人間の遺伝子がどう結びつくのかは予測不可能であり、たとえ双子であっても全く同じというわけではありません。

 「勉強ができれば幸せな人生を送れる」とか、「努力すれば報われる」とか、いかにも正しそうな言葉を信じて、つらい人生を送る必要はないんです。人それぞれに個性があり、生きる道があるのです。

 あえて、人とは違う道を行くことも選択肢の一つだし、「成るようにしか成らない」と考えることこそが、自分らしい人生のあり方なのではと思えてきました。

3155冊目(今年129冊目)

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