『いい子のあくび』 高瀬隼子 24-151
高瀬さんが描く女性は、みんな怖いわねぇ。顔はニコニコしていても、頭の中は全然笑ってない。イライラしたり、怒ったり、ガッカリしたり。でも、そんなことを表には出さないことが習慣になっちゃってる。いい娘、いい部下、いい彼女、そういう仮面を被って生きている。どうして、そんな面倒なことをしてるかですって?もちろん、世の中を上手く渡っていくためよ。その程度のことで騙される人が多いんだから、それが処世術ってものよ。という声が聞こえてきます。
優等生って大変なのよ。ホントは面倒くさいこともニッコリ笑ってやらなけりゃならないし、残業や余計な仕事を頼まれたときに断れないし。あの人には借りを作っちゃいけないとか、細かい計算ばっかりしているから疲れちゃう。だから不良とか、天然系とかが羨ましいこともあるの。
・いい子のあくび
人の行動を細かく見ることが習慣になってしまっているから、世の中の間違っている事にやたらと反応しちゃうのよね。だから歩きスマホしている人にわざと「ぶつかったる」と決意した主人公。
その後の展開は、彼女の黒い部分がドンドン出てきて、こういう心理ってホントに怖いなぁ、世の中にはこういう黒い気持ちがあちらこちらに渦巻いているんだって確信してしまいます。
・お供え
ある社員の机の上の像にお供え物が並んでしまう話なんだけど、この会社の人たちの、それぞれの腹の中にある黒いものが見え隠れして、どこの会社も同じだなぁって感じました。
・末永い幸せ
同級生が結婚するって話に、結婚おめでとうという気持ちはあるけど、結婚式に出るのはイヤだという微妙な心理がとってもよく分かるんです。
女性たちの心の中の黒いものって、確かに嫌なものではあるけど、決して勝手に湧いてきたものではないと思うのです。子どもの頃から言われ続けてきた「女の子はこうしなさい」とか、「若い女性に同席してもらいたい」という上司の言葉とか、勝手に押し付けられる「らしさ」を無理やり演じさせらることへの反発だと思うのです。
もう、いい加減にしてよ!という心の叫びが「ぶつかったる」になっているんだろうなぁ。
3177冊目(今年151冊目)
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