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『日暮れのあと』 小池真理子 24-132

Higurenoato

日暮れのあと

小池真理子(こいけ まりこ)

文藝春秋

 あの頃はそれに何の疑問も持っていなかったのに、今考えると不思議でならないことが色々とあります。どうしてあの人と出会ったの?偶然なの?それとも?あの頃は毎日のように会っていたのに、いつの間にか音信不通になってしまったり、亡くなってしまったり、解けないままの疑問がたくさん残っています。

 

 この短編集に登場するのは、ステキな人だったのに、なぜか算数だけができなかった叔母さん。突然、お線香を上げさせてくださいとやって来た人。プレゼントの花を買いに行った花屋で恋してしまった人。病院で出会った初老の男性を気遣った人。告別式にやって来た意外な人。かつての恋人と再会した人。若い植木屋さんの告白に驚く人。

 

 淡々と過ごしているつもりでいた日常に、思いもよらない事態が起きることは、誰にだってあるんです。わたしにも似たようなことがあったなと思うこともあるし、それは怖いなと思うこともあります。その時は、ドキドキするだけで終わってしまったことも、後になってみれば、そんなこともあったねって思えることばかり。

 

 若いころにはわからなかったけど、歳を取るとわかるようになることがあります。あの人の歳になってみて、初めてわかることがあるんだなって思えることが、いろいろとあるのです。

 

 でも、わからないまま歳を取るのも、それはそれでいいことなのかもしれません。

 

この7篇が収められています。
・ミソサザイ
・喪中の客
・アネモネ
・夜の庭
・白い月
・微笑み
・日暮れのあと

3158冊目(今年132冊目)

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