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『ストレス脳』 アンデシュ・ハンセン 24-142

Sutoresu

ストレス脳
Depphjärnan

アンデシュ・ハンセン
Anders Hansen

新潮新書 959

不安とうつはたいていの場合、防御メカニズムである。どちらも人間の本質として正常であり、あなたが壊れているとか病気だとかいうことではない。何よりも、絶対にあなたの性格のせいではない。

睡眠不足、長期的なストレス、じっと座っていること、ソーシャルメディアで他の人の修正写真を見すぎることで、脳が「自分は危険な世界にいる」「自分は十分ではない」というシグナルを受け取る危険性がある。脳はそれに対して、あなたを引きこもらせなければと思い、精神状態を悪くしてしまう。

 わたしが今ここにいるのは、祖先が生き延びてきたからなのです。これまでの祖先にとって、生存するために気を付けなければならなかったのは、感染症とか、動物に襲われること、ケガをすること、毒物を食べてしまうことなどです。そういうデータの蓄積がわたしたちの脳の中に収められています。

 危険から身を守るためにはどうすればいいのか?それを「脳は予測する」のです。蛇やクマを怖いと思うから、出てきそうなところに行かないようにするし、坂道や刃物などでケガをしないようにと気を付けるのです。

 現代は、様々なことが便利になりました。医学が発達し感染症対策もできるようになりました。でも、人間の脳の構造は昔のままだから、外界からの情報に敏感に反応できる能力が、うつや孤独を生んでしまうのです。

 

 科学が進歩することで快適な生活が送れると信じて人間は生きてきました。でも、その変化に追いつけないからこそいろいろな問題が起きるのです。昔なら目にすることがなかった他人の幸せそうな行動や発言に、反応してしまうのです。そして、どうしてわたしだけ置いて行かれてしまったのか?という思いに囚われてしまうのです。

 そんなこと無視すればいいじゃないと他人は言いますけど、一旦スイッチが入ってしまった人は、自力でそれを無視することはできないのです。

 

運動はうつや不安からあなたを守ってくれる。あなたは運動するようにできていて、今の時代は運動量が少なすぎる。一方で、だらだらしたいと思うのも正常な反応だ。

孤独はいくつもの病気に影響するが、小さな努力が大きな違いを生む。健康の見地からは、親しい友達が数人の方が、浅い知人が多くいるよりも良いと思われる。

幸せなんか無視しよう!常に幸せでありたいと思うのは非現実的でつらいだけ。しかも逆効果だ。

そして最も大事なのは、精神状態が悪いなら受診すること。肺炎やアレルギーで病院に行くのと同じことだ。医学があなたを助けてくれるし、あなたは独りではない。

 うつや不安から逃れるには、とにかく孤独から抜け出すことなのですね。誰かと話すこと、誰かと触れあうこと、運動すること、そしてこれは一つの病気なのだと自覚して治療を受けること。

 うつや不安とは、現代社会が生んだ病気なのだという知識を持つ人が増えることが、多くの人を救うのだということが良くわかりました。

3168冊目(今年142冊目)

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