『刑事捜査の最前線』 甲斐竜一朗 24-157
最近のニュースを見ていると、町の中にある防犯カメラの映像がよく登場します。その映像を使って犯人の行動を追うことが、逮捕のためにとても役立っているそうです。
例えば、犯人がある家へ押入り、そこから逃走するルートを防犯カメラの映像を元に追いかけていくのですが、犯人もそれを分かっていますから、どこかで着替えることがあって、犯行後の足取りが追えなくなってしまうことがあります。そういう場合には、犯行前の足取りを時間を遡って追うのだそうです。犯人がどこからやって来たのかが分かれば、逮捕につながります。
そして、こういう捜査で活躍しているのが女性警察官なのだそうです。これまで刑事課で活躍していた女性警察官が育児などで時短勤務になった場合、刑事課以外の部門に移ることが多かったのですが、彼女たちに防犯カメラ画像の解析業務をしてもらう事にしたというのです。
警察の科学捜査研究所(科捜研)は様々な事件を調べます。あのサリン事件のときの話には驚きました。現場で刑事が液体を採取して科捜研へ駈け込んできました。
刑事は現場の状況を一通り説明すると最後にこういった。
「とにかくみんな『暗い』『暗い』と訴えていました。実は私も暗いんです。ここ電気ついてるんですよね?夜みたいに真っ暗なんですけど」
その言葉にビックリして彼の瞳孔を調べたら、瞳孔が動かなくなっていて、研究員は有機リン酸系の毒物だと推測し、その毒物がサリンだということが判明したのだそうです。
大事な証拠を採取した刑事さんが、自分がとても危険な状態だったの気がついていなかったのです。でも、彼のおかげでその後の対応が素早くできて、多くの人を助けることができたのです。もちろん刑事さんもすぐに処置してもらったそうです。
暴力団や強盗と対峙する時の危険は想像できても、こういう予測できない危険とも戦う警察の方々のおかげで、様々な事件の真相が解明されているのです。
かつては暴力団が一番大きな問題でしたけど、そちらが抑え込めるようになってからは、半グレや闇バイトが動く特殊詐欺や強盗が増えています。こういった事件の摘発が進んでいますが、一番摘発しにくいのが贈収賄、とりわけ政治家がらみが一番捜査しにくいのだそうです。「あそこの捜査はしないでくれ」という連絡が所轄の警察署長へ入ることもあるのだとか。つまり、今の世の中で一番悪い奴は政治家ってことなのでしょうか。
この本の紹介で『DNA鑑定は「565京人に1人」の精度に進化』という文章を読んで、最初意味がわからなかったのですが、調べてみたら「京(けい)」とは数の単位で「10の16乗」でした。それほどの精度があるとは、実にすごい。
DNA鑑定や防犯カメラといった技術の進歩とともに、実際に捜査をする方たちの努力やカンといった、人間力も犯罪捜査に対してとても重要なものだということが良くわかる内容でした。
この本を読んだら、犯罪を犯すなんて割りの悪いことはやらない方がいいって、とてもよくわかりますよ。
#刑事捜査の最前線 #NetGalleyJP
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