『マンガ「山奥ニート」やってます。』 棚園正一、石井あらた 24-182
「山奥ニートやってます」がとても面白い本だったので、それがコミックになったと知って、さっそく読んでみました。
山の中の美しい景色や、駆除しなければならない鹿と目が会ってしまってどうしよう?という感じなど、絵で説明されることによって、より分かりやすい部分が増えたなと思います。
一般にニートというと、町で家族と一緒に住んでいて、学校を卒業しても働かずにいる人という感じなんですけど、本人にとっても、なぜそうなったのかというのが、よくわからずにいたのだということが、この本を読んでいて伝わってきました。
山奥の村には、老人しかいません。そこに若者がやって来たわけだから、近所の人たちは優しくしてくれます。ちょっと畑仕事を手伝ってくれるかなと声を掛けてくれて、帰りには野菜をお土産にくれたり、ごはんを食べさせてくれたりするんです。
最初は、こんなにキツイ仕事はイヤだって思っていた若者たちだけど、食べ物のおいしさにビックリし、老人たちが自分たちをあてにしてくれているということに嬉しさを感じるんです。だから山奥での生活が段々と楽しくなってきます。
「町の生活に疲れたときは、よかったらきみも来てみなよ。」
と言えるくらい、彼らはたくましくなりました。
そして、どうしてここだと自分は楽しく暮らせるんだろう?と考えます。
そうか、ここではノルマがないからムリして働く必要がないんだ。口うるさい上司や親がいないんだ。自分のようなダメな人間は生きてる価値がないって思ってたけど、こんな自分を頼りにしてくれる人がいるんだ。
「うちの息子がひきこもりなんだけど、ここに連れてきてもいいかしら?」という教育ママに、「問題なのはムスコじゃなくてアンタだろう!アンタがここに来たらどうだ?」と返すやり取りには笑っちゃったし、同時に、こういう毒親が世の中には大勢いるんだろうなとも思いました。
ひきこもりとか、ニートとか、否定的な言葉で語られがちな彼らですけど、彼らへの一番の薬は、親元から引き離すことなんじゃないかな?って思うのでした。
このマンガを描いた棚園正一さん自身も不登校だった時期があったそうです。そんな彼だからこそ、この作品を見事に描けたのでしょうね。
#マンガ山奥ニートやってます #NetGalleyJP
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