『生命活動として極めて正常』 八潮久道 24-161
八潮さんの作品を読むのはこれが初めてなのですが、読みだしたらどうにも止まらない、高校生の頃に初めて筒井康隆の作品を読んだときのことを思い出しました。
どれも、本当は怖い話なんですけど、それだけではない何かがわたしを引き寄せていきます。そんなこと本当にあったらどうしよう?不条理だけど、近未来にはそういうこともあるかもしれないと思えてしまう感じ、それがとても魅力的でした。
・バズーカ・セルミラ・ジャクショ(2016年)
顔認証ですべての支払いができる世界で、顧客をレーティングし、レーティングがある程度以下になったら現金でしか買い物ができなくなる。これは凄いなぁ。誰かにハメられてそうなったら怖いけどね。でも、カスハラ対策にはこれしかないかも。
・生命活動として極めて正常(2014年)
社員を殺害していいという制度がある会社の話。これは正にブラック企業!でも、直接手は下さないけれど、人の命を何とも思っていない組織は間違いなく存在するから、こういう会社も実はあるのかもしれない。
・踊れシンデレラ(2016年)
シンデレラは継母と姉たちから虐げられていたけれど、それが彼女を体育会的な人間に変えていたとはね。
・老ホの姫(2023年)
現実の老人ホームは圧倒的に女が多いのに、男ばかりの老人ホームという設定が面白い。そこで「姫」というトップスターの位置をキープしているおじいさんって、可愛いのかなぁ?ちょっと会ってみたい気がする。男らしさを求められなくなった、これからのじいさんなら、こういう人も現れるかもね。
・手のかかるロボほど可愛い(2021年)
リゾート地にある小さな軍事博物館の案内ロボが、偏屈なおじいさんの案内をしてくれました。最初は融通のきかない奴と思っていたのに、このロボの正体がわかってビックリ。
・追放されるつもりでパーティに入ったのに班長が全然追放してくれない(書下ろし)
どうせすぐに役立たずって言われると思っていたのに、なぜか追い出されない。その理由が分からなくて、どうしようと思っているうちに後輩がやって来て、その面倒をみることになって。
・命はダイヤより重い(書下ろし)
列車のダイヤは人の命より大事なのです。どんな事故があろうと、ダイヤは守らなければならないのです。
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