『検事の信義』 柚月裕子 24-197
検事である佐方貞人(さかたさだと)には信念があります。「罪をまっとうに裁かせる」という彼の信念は、正しいことなのだけれど、それを嫌う人が少なからずいるのです。佐方が見つけてしまった犯罪の裏に潜む真実を、見なかったことにしてくれと言う人もいるし、余計なことをするなと言う人もいます。それは被告人本人の場合もあるし、検察の上司であったり、警察の人間であったりする場合もあるのです。
検察なのだから、被疑者の有罪につながることだけを調べればいいのに、なぜ無罪になるようなことまで調べてしまうのかと非難されることもあります。けれども、佐方は屈しません。真実を見つけ出し、本当に行ってしまった罪だけを償わせればいいのであって、冤罪を生むようなことをしてはいけないのだという信念で働いているのです。
第一話 裁きを望む
第二話 恨みを刻む
第三話 正義を資す
第四話 信義を守る
法廷もののドラマなどでは、弁護士が正義の味方、検事は悪役として描かれることが多いのですが、「それは逆なんだよ」と、従兄が昔言っていたことを思い出しました。
この本の中で、検事の仕事はいつも山積みで、毎日公判があり、時には1日3件もの公判に出廷しなければいけないという話に、こんな大変な仕事を黙々とやっている方がいるのだということに驚きました。
わたしの従兄は、子どもの頃に「判決」というドラマを見て弁護士に憧れ、弁護士事務所で働いていたのですが、裁判がお金で何とでもなる現実に嫌気がさして、数年後に検事になりました。仕事に生きがいを感じていたのに、過労で40代で亡くなってしまいました。
佐方さんもそんなことにならないようにと祈るばかりです。
3223冊目(今年197冊目)
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