『おそろし』 宮部みゆき 24-227-3253
川崎宿の旅籠の娘「おちか」は、そこで起きたある事件後心を閉ざしてしまっていました。このままではいけないと案じた叔父の計らいで、今は叔父が営む袋物屋・三島屋のお世話になっています。この店がある神田三島町は、現在の住居表示だと千代田区神田富山町、東松下町の辺りです。JR神田駅と都営新宿線岩本町の中間くらいの場所です。
おちかは昔のことを思い出したくないという思いから、店では女中として働かせて欲しいと申し出て、毎日黙々と働いていました。それでも、嫌な思いはなかなか消えてくれません。悪い夢も見るし、起きている時にもついつい嫌な記憶がよぎっていくのです。
亡者はいる。生者の胸の中に。浄土もある。生者の胸の中に。そんな易しいことならば、誰がこうして苦しむものか。
おちかに話をしにやって来たお客様は、不思議な悲しい話をしていきます。何故自分の家族がそんな目に合ってしまったのか、何故あいつはやって来たのか、わからないけれども、どうにもならない運命だったのでしょうか。
そんな話に、わが身に起こった不幸を重ね合わす、おちかです。
あんなひどい事件が起きたのは自分のせいだと、自分を責めるばかりのおちかの気持ちが、少しずつ癒えて行ったのは、同じような気持ちを抱えていた人の話を真摯に聞き続けたからなのでしょうか。
おちかは、これからも同じような人たちの話を聞き続けていくことでしょう。
この5篇が収められています。
・曼珠沙華
・凶宅
・邪恋
・魔鏡
・家鳴り
怖いけど、面白い。だからページをめくる手が止まらない。そのどうにも止まらない感じは何なんでしょうねぇ。続きを読みたいなぁという気持ちがムクムクと湧いてきました。
3253冊目(今年227冊目)
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