『神様の裏の顔』 藤崎翔 24-222-3248
68歳で亡くなった坪井誠造さんの通夜には、大勢の弔問客が集まっていました。彼は生前、中学校教師として校長まで勤め上げ、定年後は不登校や貧困家庭の子供のために活動するNPOの活動に参加していました。そして、自宅の敷地ではアパートを経営しており、家賃を支払うのが大変な店子が家賃を滞納しても、追い出すことなく住まわせ続けるほどの人格者でした。
通夜ぶるまいの席で、元教え子や元同僚教師、アパートの住人などが集まって、「神様のような人」だった故人の人柄を思い出しながら話をするうちに、何人かが「もしかして」という感情を吐露し始めたのです。「もしかして、坪井さんは殺人事件を起こしていたのでは?」という疑惑がドンドン広がっていって、あの事件も、この事件も、彼が犯人?と思うような話が続いたのです。
社会的に素晴らしい功績を上げていた人が、世間から見えないところでとんでもない人だったということは、往々にしてあるものです。確かに、偽の名前で生きていた人とか、過去の経歴を隠していた人を何人か知っていますけど、世の中にはいろんなことがありますからね。
そして、坪井さんの娘の苦悩はなかなか重いものがあるなと感じました。世間で神様のようだと評される父親との関係はなかなかきつかったのでしょうね。期待に答えなければという気持ちと、自由にさせて欲しいという気持ち、それが彼女を鬱に追い込んだのでしょう。
話の中盤でのどんでん返しには、「オオ~、そうだったんだ」と思いましたけど、終盤でもう一度ひっくり返されて、結局真実は別の所にあるという所が面白かったです。この世で一番怖いのは人間なのですね。
3248冊目(今年222冊目)
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