『じい散歩2 妻の反乱』 藤野千夜24-221-3247
明石家の息子は3人とも50代で独身です。長男は10代から引きこもり、オタクの三男は相変わらず借金だらけ。自立している次男はトランスジェンダーで自称・長女と言っています。ここまでは前作と同じですけど、奥さんの英子さんは認知症が進行して、介護が必要になりました。
でも、介護の作業をしているのは夫の新平さんだけ。近くに持っているアパートの管理業務をやっているのも新平さんだけ。90歳を超えてもうそろそろ限界が近づいています。
パソコンの設定とか、英子さんの話し相手とか、アパートの掃除は元二男の長女が助けてくれるけど、同居しているふたりの息子は何も手伝ってくれません。それどころか、三男はしょっちゅう金を貸してくれとか、遺産相続はどうだとか言って、新平さんを怒らせてばっかりです。
英子さんの介護はヘルパーさんに来てもらう事になって、少し時間に余裕ができた新平さんは散歩を再開しました。そんなに遠くへ行くわけじゃないけど、外での時間は元気でいるための大事な時間です。
いやいや、長男と三男のダメダメさ加減は、笑っちゃうくらい酷いです。でも、現実にもこういう家庭はかなりあるはずです。
30代で正社員をしている独身息子2人が、このままだと両方とも一生独身で家にい続けるんだろうなってボヤいてるお父さん、40代ひきこもり長男は宅配便の荷物も受け取ってくれないんだとボヤいてるお父さん、50代独身の息子のご飯をいったいいつまで作らなければならないんだろうねってボヤいてる80代のお母さん、家の近所でもいろんな困った話を聞きます。
この本のサブタイトルになっている「妻の反乱」は、最後の最後に出てくるのですが、新平さんは一生懸命に生きて来たけど、奥さんのことは軽く考えていたのでしょうね。今更反省してもしょうがないけど、最後にやられた!って感じです。
物語はここで終わってますけど、95歳になった新平さんがいなくなったら、あの3兄弟はどうなっちゃうんでしょうね?家とアパートという不動産物件しか財産がない状態で三分割って厳しいよねぇ。
3247冊目(今年221冊目)
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