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『いつか月夜』 寺地はるな 24-225-3251

Itukatukiyo

いつか月夜

寺地はるな(てらち はるな)

角川春樹事務所

NetGallyJP

 實成は、父を亡くした日からなんともいえない不安(モヤヤン)を抱えるようになってしまいました。それを忘れるために、夜歩くようになったんです。そしてある日、中学生くらいの女子を連れた会社の同僚の塩田さんに出会い、最近、この辺りに変な男が出没するらしいという話を聞いた實成は、じゃあ、これからはボクと一緒に歩きませんかと提案し、3人で歩くようになったのです。

 そうして歩くうちに、なぜか夜の散歩メンバーが少しずつ増えてきました。

 實成は、周りの人たちの話し方とか、接し方が何だか気になっているんです。社内で女性と話をしていると、それをニヤニヤしてみている先輩がいたり、実家の母からどこでも買えるような食料品が沢山入った荷物が届いたり、何だか違和感を感じることが多いのです。

 散歩を一緒にするようになった中学生(ニックネームは熊)が、意外とはっきりと好き嫌いを言うのを、そんなものなのかなぁ?自分とはだいぶ違うリアクションをするんだなと思いながら見ています。でも、彼女のこと決して嫌いじゃないんです。

 

 實成は、父から言われた「善く生きる」ということが心の中に引っかかっていました。「善く」というのは誰に対しての「善く」なんだろうか?それは相手に対してなのか?自分に対してなのか?

 世間ではいい人で通っている兄が、妻に対して「女だから」という扱いをしてるのが、とても気になります。ひとり暮らしで、周りの人たちから「さびしそうだ」と言われている母が、「さびしさはわたしが感じているものであって、誰かから評価されるものではない」と言っているのを聞いて、本人にしかわからないことってあるんだなと思ったりもします。

 自分は自分にどれだけ正直なのか?と考えてみると、自分は意外と正直じゃなかったんだなと気がついたんです。どうして、こんなに無理して生きていかなきゃいけなんだって気がつけたから、きっとこれからの彼の人生は変わっていくんだろうなぁ。

 實成の兄弟の名前の由縁から、サマセット・モームの書いた童話「九月姫とウグイス」の話が出てくるんだけど、この話気になるなぁ。

#いつか月夜 #NetGalleyJP

3251冊目(今年225冊目)

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