『骨風』 篠原勝之 24-274-3300
北海道の室蘭で生まれたクマさんは、生後すぐにジフテリアにかかり、嗅覚と左耳の聴覚を失ってしまいました。そんなこともあって、おとなしくて、どちらかと言えばぼうっとしている彼が気に食わなかった父親から何かといえば暴力をふるわれ、クマ少年は毎日小さくなって暮らしていました。
17歳の時に、ついに耐え切れずに家出しました。貧乏よりも孤独よりも、とにかく父親から逃げることが一番だったのです。
肉体労働で金を稼ぎ、職を転々としながらも、元々好きだった絵を描くことは忘れずにいたようです。そして、溶接の仕事をしたことから始まった鉄のオブジェが、世間で認められるようになったのです。
クマさんは、大柄でがさつな人に見えますけど、実は繊細な感性を持った、優しい人なのですね。黒猫GARAとの生活を描いた「矩形と玉」はいいなぁ。父親からの虐待によって対人恐怖を抱えていた彼にとって、GARAとの暮らしはホントに幸せだったのでしょうね。
家族との関係もやっかいだったし、いろんな人に騙されたこともあったし、ゲージツ家として認められたとはいっても、どこか厭世観を捨てきれないクマさん。でも、クマさんの生き方は清々しいなぁ。
この短編集は小説なのでしょうか?それとも自伝なのでしょうか?まぁ、どっちでもいいことだけど、こんな大変な環境でも人間は生きていける。お金よりも大事なのは、自分らしく生きることなんだって思えました。
この8編が収められています。
・骨風
・矩形と玉
・花喰い
・鹿が転ぶ
・蠅ダマシ
・風の玉子
・今日ははればれ
・影踏み
3300冊目(今年274冊目)
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