『さやかの寿司』 森沢明夫 24-276-3302
母の納骨を終えた作田まひろは、「別れ」を受け入れようと、幼い日に母と一度だけ訪れた寿司店にやってきた。海辺の町の鄙びた商店街にある「江戸前夕凪寿司」という小さなお店。意を決して暖簾をくぐるも、ランチ営業はちょうど終わったところだった。がっかりしたまひろだったが「ちょっと、お客さぁん」と綿飴みたいな若い女性の声に呼び止められ、まかないの海鮮丼を500円でいただくことに。
まひろさんは天涯孤独になってしまって、これからどう生きていこうかということすらも考えられない状況だったから、夕凪寿司でさやかさんに出会えたのはとっても幸運でした。住むところも仕事もないという話をしたら、お寿司屋さんに居候していいって言われて、仕事も紹介してもらえて、おまけに、この店で働いている未來ちゃんと友達になれたのも幸運でした。
夕凪寿司へやってくるお客さんたちも、みんな何かしらの問題を抱えているんだけど、この店でワイワイやっているとなんだか肩から力が抜けるって感じなのよね、きっと。
最後の方で明かされた未來ちゃんの秘密も、人がいい社長さんの秘密も、明かされてみれば、「それはあなたが悪いわけじゃない」ってことなのに、そういうことを誰にも言えずに苦しんでいる事って多い。
身近に何でも話せる人がいるってとても大事なことなのに、そういう関係を拒んでしまうのは、そういうものを信じられなくなるくらいツライ過去があるからなのかなぁ。
こんなこと話して、どんな風に思われるんだろう?なんて悩む必要なんかないって。心の中の黒いものを吐き出したら、誰かに聞いてもらったら、それだけでホントに楽になるんだから。
森沢さんらしい、ハートウォーミングなお話でした。
#さやかの寿司 #NetGalleyJP
3302冊目(今年276冊目)
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