『「指示通り」ができない人たち』 榎本博明 24-307-3333
面接でいい人だなと思って雇ってみたら、どうも仕事がちゃんとできないという人が増えている。仕事の手順を説明して診たり、お客様への対処法をこうやってみたらと指導してみるのだけれど、その時は「わかりました」というけれど、ちっとも変らない人。そもそも「どうして、そんなことを言われなければならないのか」と反発する人、時にはパワハラだと反論されてしまうこともあるというのです。
たとえば、「このデータをPCで入力して、終わったらデータをシュレッダーにかけて破棄してください。」という指示をしているのに、いきなりシュレッダーへ向かってしまう人がいるというのには、「はぁ?」という感じですよね。そんな風に指示されたことを理解できない人が増えているのは何故なのか?をこの本は説明しています。
昔と違って今の教育では「褒める」ことを主体にしています。ですから「叱られ慣れていない」人が増えているというのが、ひとつの理由であるようです。そして、他人と関わることが減っている現代だからこその考えの狭さが問題であるようです。仕事の手順が間違っていますよという話をしているのに、自分が否定されていると受け取ってしまう人が多くいるのは、とても残念な状況です。
〇能力改善の3つの柱
・認知能力(読解力)
・メタ認知(振り返る力・大局的に考える力)
・非認知能力
(忍耐強く物事に取り組む力、集中力、人の気持ちを共感する力、自分の感情をコントロールする力など、学力のような知的能力に直接含まれない能力(EQ))
こういう能力がないということは、年齢的には大人になっても、頭の中は大人になっていないということですね。
最近、闇バイトで捕まってしまった人たちの話をニュースで見たのですが、「ホワイト案件」という言葉に騙されてしまったという人がいました。求人側が「ホワイト案件」と言っている段階で、これは怪しいと思わないのも、安易に身分証明書を相手に渡してしまうのも、こういう能力を身につけずに来てしまった人だからこそなのでしょうね。
そして、指示役が現場にいる彼らにケータイで逐一支持を与えているのは、経験もなく、状況判断ができない彼らを使うには、こうするしかないということなのでしょうか。ある意味、闇バイトの指示役は今時の人の使い方に熟知していると言えるのかも?
この本は、こういう人がいるという説明ばかりが長くて、最後の章まで読んだところでやっと対処法がわかるという構成で、読む人の気持ちになっていない構成であるところがとても気になりました。
3333冊目(今年307冊目)
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