『小さな出版社のつづけ方』 永江朗 24-284-3310
ひとり出版社は、とにかく忙しいのです。大きな会社にいた時には、会社の誰かがやってくれていたことのすべてを自分ひとりで行うのは、とても大変なことです。でも、その中から何かを見つけ出す力のあった人だけが生き残れてきたのだと思います。
この本が作られた時期は、コロナ禍にも重なっていました。町の機能がほとんど止まってしまったあの頃、実は小さな出版社にとっては大きな発見があった時期でもあったのです。
インターネットで本を買うのが当たり前になっていた時代だったことが幸いして、小さな出版社に直接アクセスしてくる人が増えたのです。大きな書店では扱わないようなニッチな本だからこそ、どんな出版社であるかとか、送料がかかるとか、ということを気にしない読者がとても多くいたのです。
古書店も兼業していた出版社では、リアル店舗は閉めていても、通販業務が忙しくてビックリしたとか。そんな話がたくさん登場します。
〇パブリブ
社名の由縁:パブリッシングとリバティー
〇ブルーシープ
社名の由縁:会社を設立した年が未年で、青臭い。青羊という名前が浮かび、それを英語にした
〇 三輪舎(さんりんしゃ)
社名の由縁:広島の原爆資料館に保存されている三輪車から
〇 フリースタイル
社名の由縁:フリースタイルという名前は片岡義男がつけた
〇左右社(さゆうしゃ)
社名の由縁:左右社という社名をつけたのは書家の石川九楊
〇アタシ社
社名の由縁:「髪とアタシ」という雑誌があって、それから「アタシ社」ができた。
〇夕書房(せきしょぼう)
社名の由縁:経営者の高松夕佳さんが、名前の一文字を取って
〇港の人
社名の由縁:北村太郎の詩集の題名「港の人」から
〇荒蝦夷(あらえみし)
社名の由縁:大和朝廷にまつろわぬ東北の民族を指す言葉
仙台にある「荒蝦夷」は、伊坂幸太郎さんの「仙台ぐらし」を出版された会社ですね。最近読んでいる高城高さんの作品を再発見したことでも知られています。
〇往来堂書店
社名の由縁:人が行き交う往来にある、町の本屋の復活を願って
これから読みたい本
・世界飛び地大全(パブリブ)
・デスメタルアフリカ(パブリブ)
・家をせおって歩いた(夕書房)
・彼岸の図書館(夕書房)
・瓦礫から本を生む(荒蝦夷)
小さな出版社だからこそできること、それはニッチだけど面白いこと。それは熱意が生み出すこと。それはすべての人に可能性があると知ってもらうこと。
3310冊目(今年284冊目)
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