『まとまらない人』 坂口恭平 24-292-3318
だから肩書っていうと、なんだろ? 作家、建築家、画家、料理家。最近んは編み物もハマっててセーターだけを編み続けて展示もしてるので、編み物作家。織物もやってるから織物作家。ガラスもやってるからガラス作家。CM音楽や子どもが通ってる幼稚園の園歌も作るから作曲家。詩も書くからね、詩人。人前で話す仕事もするし、柳家三三さんの前座もやったことあるから噺家。陶芸もするから陶芸家。この前は雑誌「ブルータス」で花もいけたから華道家でもあるね。インタビューをするのも得意。もう難が何だかわからないけど、とにかく器用。言ってしまえばそれだけ。何か一つ秀でてるものがあるわけでもない。どれかで一番取れるわけでもない。そもそも人と競争する所にいない。P18
でも、みんなやってたんだよ、ほんとは。ちっちゃい頃を考えてみたら、歌って、踊って、絵描いて、ってことをずっとやってたはずでしょ。ところがみんな少しずつやらなくなる。やらなくなるっていうよりも、いつのまにかできなくさせられていく。それが僕は気になってしょうがない。社会ができなくさせる、って言うことだよね。一貫性がない行動をしてたら、おかしい人って言われるでしょ。でも一貫性がある方がおかしいと思うんだよね。P29
坂口さんは、いろんなことをできる。ある程度は見よう見まねでできちゃうから。つまり器用だから。どれかが特別秀でてるわけじゃないけど、それがどうした?って思ってる。
その感じはよくわかる。誰だって子どもの頃は、それが得意だとか不得意だとかってことなんか全然考えないで絵を描いたり、歌ったり、走ったり、絵本を読んだりしてたんだよね。
「本を読んでません」とか「運動してません」とか「趣味はありません」っていう大人がいっぱいいるけど、それって何故そうなっちゃったんだろう?自分からやめたの?だったらいいけど、「そんなことしてないで勉強しなさい」って言われて育ったせいだとしたら、酷い話だよね。
「生きのびるための事務」が余りにも面白かったので、この本も読んでみたんだけど、坂口さんは躁鬱症である自分と折り合うために、いろんなことをやってみているのがすごいんです。自分と同じように苦しんで「死にたい」と思っている人を助けるために電話番号を公開してることとか、躁と鬱のギャップのこととか、そんな自分を隣で見守ってくれているフーさんのこととか、他人から見れば「まとまらないこと」かもしれないけど、彼にとってはそれ全部が彼なの。
眠れないっていう人には「とにかく2時間歩け」とか、薬を飲むより「手先を動かせ」という彼の言葉は、決して思いつきで言ってるのではなくて、自分の体験や勉強したことから生まれている事なんだってことが良くわかります。
人間の脳は直立して手首から先を使うようになってから発達したので、手首から先を複雑に使うような仕事は健康にいいし脳を発達させるんです。で、どんな作業があるかね、ていうと、ほとんど家事なんです。(神田橋條治ほか『発達障害は治りますか?』より)
こういうことを提唱している人がいるってことを初めて知りました。この本も読みたいなぁ。
3318冊目(今年292冊目)
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