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『あの日、小林書店で。』 川上徹也 24-282-3308

Anohikobayasishoten

あの日、小林書店で。

川上徹也(かわかみ てつや)

PHP文庫

NetGalleyJP

「仕事で大切なことはすべて尼崎の小さな本屋で学んだ」を改題し加筆・修正、
新たに「5年後、あの日の続き」を書き下ろしで加え、文庫化

 目標もなく、なんとなく社会人になった、出版取次「大販」の新入社員・大森理香さん。そもそも取次という仕事が何の仕事かすらわかっていませんでした。東京で配属だと勝手に思っていたのだけど、実際に配属されたのは大阪でした。右も左もわからなくて悩んでいた彼女に、「ここでお話を聞いてきなさい」と上司が連れていってくれたのはわずか10坪しかない町の小さな書店「小林書店」でした。

理香さんはまず、もっと相手のことを知ることから始めて見たらどう?

 小林書店の店主、由美子さんはこんな風に語りかけてくれました。由美子さんの話を聞いて、何だか力が湧いてきた理香さんは、少しずつ仕事に慣れていきました。そして、何か悩みにぶつかるたびに、由美子さんの話を聞きに行くようになりました。 

考えてみたら何も知らない私に、大の大人たちが何人もよってたかっていろいろなことを教えてくれている。自分の時間を犠牲にして。本来ならば、授業料を払うべきところをお給料までもらえているのだ。

 少しずつ仕事に慣れ、新しい企画を立てることもできるようになり、書店と取次の枠を超えた仕事をする楽しさに目覚めた理香さん。困ったことがなくても、由美子さんの話を聞きに行くことで、いろんな人生勉強をさせてもらえることに幸せを感じるようになったんです。

 

 ご両親が始めた書店を継ごうなんて、由美子さんは子どもの頃はちっとも思っていなかったのだそうです。でも、結婚してしばらくして、やっぱり書店を継ぎたいと思った時に、旦那さんと相談します。そうしたら、会社を辞めて一緒に本屋をやろうかと言ってくれたんです。その時の彼の言葉がホントに素晴らしいのです。

僕は会社で外の世界を見てきた。これからは君が外に出て、いろんな人と出会って、学んできてください。そしてそれを僕に教えてほしい」というのが「条件」だった。

 つまり、本屋の店主は由美子さんで、旦那さんはそれを支えるというのです。これからは女性の時代なんだから、自分は裏方に徹すると言ってくれたんです。

 小さな書店だけど、できることがたくさんありました。こんな本売れないだろうと思われていた本をガンガン売ったこともあるし、読書会やイベントもたくさんやってきました。それは、大きな書店にはできないことをコツコツとやること。本を買いに来てくれる人を大事にすること。

 最後の方で語られた泥棒に入られた話にはビックリしました。年末に売上を盗まれて、支払いどうしよう!というピンチになったときに、助けてくれたのは、これまで仲良くしてきた近所の人や取引先でした。最後は人と人とのつながりなのですね。

 書店を愛するみなさん、ネット書店も便利だけど、できることならリアルの書店で本を買ってください。それが小林書店の由美子さんが教えてくれたことに対するお礼だと思うのです。

 この本は、「仕事で大切なことはすべて尼崎の小さな本屋で学んだ」を改題し加筆・修正し、新たに「5年後、あの日の続き」を書き下ろしで加え、文庫化したものです。単行本で読んだことがある方も、「5年後、あの日の続き」をぜひ読んでください。

#あの日小林書店で #NetGalleyJP

3308冊目(今年282冊目)

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