『町なか番外地』 小野寺史宜 24-300-3326
・妙見島 ベルジュ江戸川二〇一号室 佐野朋香
マッチングアプリで知り合った彼氏と別れたばかりの朋香
・JR四ツ谷駅 ベルジュ江戸川一〇二号室 片山達児
妻と娘との会話もギクシャクする達児
・東京高速道路 ベルジュ江戸川二〇二号室 青井千草
学生時代に銀座インズでバイトしていたときの友達が死んでしまったと知った千草
・河原番外地 ベルジュ江戸川一〇一号室 新川剣矢
会社を辞めたけど、その先のことがまだ考えられずにいる剣矢
妙見島(江戸川区東葛西3丁目)へは行ったことがあるので、何だか懐かしい気がしました。外から見るとすぐにはわからないけどマリーナがあって、レストランもあります。昔、そのレストランのシェフをしていた人が友達で、食事をしに行ったことがあります。それと、会社がそこにある友達がいて、車かバイクじゃないと通勤が大変だって話を聞いたこともありました。
銀座インズ(銀座西二丁目二番地先)の辺りも昔よく行っていた場所で、首都高速道路の会社線は番地がないし、通行料は無料ということは知っていました。だけど、四ツ谷駅が無番地(新宿区四谷1丁目無番地)とは知りませんでした。番地がなくても困らない場所だからということなのでしょうか。
最後に出てきた、河原番外地は面白いですね。東京と千葉の境目にあって、両方で仲良く管理している場所だということが面白いです。日本でも世界でも、境目がはっきりしない土地では争いごとが起きやすいのに、両者がうまくやっているからこそ無番地が生まれるというのは、いい事なんだなと思います。
いつもの小野寺さんらしい感じと無番地とが、どこか通じるところがあるような気がします。同じ建物に住んでいても、挨拶くらいはするけれど、それ以上はないのって、話してみる機会がないっていうだけなのかなぁ?それとも、警戒感のせいなのかなぁ?
この作品はベルジェ江戸川の4部屋に住む人たちの、日常を切り取った物語です。ベルジェって「土手」って意味なんですよとか、家賃が安いのが魅力だけど、駅まで遠いよねなんて会話が、とても小野寺さんっぽいですね。
3326冊目(今年300冊目)
« 『100分de名著「ドリトル先生航海記」』 福岡伸一 24-299-3325 | トップページ | 『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』 椰月美智子 24-301-3327 »
「日本の作家 あ行」カテゴリの記事
- 『冷蔵庫探偵 蔵前怜子』 遠藤彩見 25-310-3706(2025.11.08)
- 『物語の役割』 小川洋子 25-297-3693(2025.10.26)
- 『キャベツ炒めに捧ぐ リターンズ』 井上荒野 25-285-3681(2025.10.14)
- 『ぼくは刑事です』 小野寺史宜 25-281-3677(2025.10.10)
- 『他人屋のゆうれい』 王谷晶 25-239-3635(2025.08.29)
« 『100分de名著「ドリトル先生航海記」』 福岡伸一 24-299-3325 | トップページ | 『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』 椰月美智子 24-301-3327 »





コメント