『仕切られた女』 高城高 24-322-3348
このシリーズ、最初は函館水上警察の話だったのですが、2作目「ウラジオストクから来た女」以降、「お吟(エリサヴェータ・ギン・ペトロヴァ)」が主人公となっっていったのは、やっぱり彼女が魅力的なキャラクターだったからなのでしょうね。
当時(第二次世界大戦以前)の外地にいる日本人は、中国人などに身請けされて妻や妾に囲われた娼妓を<被仕切女>(しきられおんな)と呼んでいた。
この本のタイトルとなっている「仕切られた女」にはこんな意味があり、日本国内の言い方で言えば、身請けされた女ということになります。でも、当時の人たち、特に中国人の場合は元娼妓だからといって、差別的な扱いをすることはなかったようです。この物語の中で、お吟が親しくしている多くの女たちは「仕切られた女」で、夫が作った会社や店を切り盛りする「頭の切れる女」ばかりなのです。
彼女たちは同じような身の上の女たちの互助組織を作っていて、旦那の中国人に死なれた会員を日本に帰してやったり、慈善事業をしたりもしていたそうです。
物語の中盤で日露戦争が勃発し、ウラジオストクにいた日本人の多くが日本へと帰ってしまったのですが、戦争が終わると少しずつ戻ってきたということは、この町には仕事があり、魅力的な場所だということだったのでしょう。
ペトロフ照会の部長になったお吟は、大豆の貿易をするために、陸路ハルビンへ向かいます。ここは清国(満州)なのですが、実際にはロシア人が牛耳っている場所で、怪しい人たちが大勢登場します。でも、ひるむことなく交渉を続けるお吟です。
これまで、ハルビンと聞いて思い出すのは、伊藤博文が暗殺された地ということくらいでしたけど、日本とロシアの関係なんて考えたこともありませんでした。このシリーズを通じて感じたのは、この2つの国は意外とうまくやってたのだなということです。
この後、お吟はどう生きていくのでしょうか? できることなら、続きも読んでみたいのです。
3348冊目(今年322冊目)
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