『麒麟模様の馬を見た 目覚めは瞬間の幻視から』 三橋昭、小野賢二郎 24-335-3361
先日読んだ「誤作動する脳」で、レビー小体型認知症のことを知り、様々な症状が出ることを知りました。そして次の週、図書館の「新着資料」のコーナーでこの本を見つけ、さっそく読んでみました。
ある朝目覚めると猫のたまちゃんが枕元にトコトコやって来た。なでようと手を伸ばすと身体をすり抜けてしまった。たまちゃんは幻視だった。
三橋さんは、それ以前にも幻視を見ていたのですけど、寝ぼけていたからくらいに思っていたようです。でも、たまちゃんの幻視を見て、これは何かおかしいと確信したのだそうです。
医師から伝えられた病名は「レビー小体型認知症」でした。幻視以外にも、身体の動きが緩慢になるとか、手足が震えるというような症状もありました。こういった症状は「パーキンソン症状」の典型ですが、「レビー小体型認知症」と「パーキンソン症状」は非常に近い関係があるそうです。
手足の震えなどの運動機能に関しては薬でかなり緩和されたのですが、幻視は毎日現れます。せっかく珍しいものを見ているのだからと考えた三橋さんは幻視を記録してみようと考えました。夢日記をつけるのと同じような感じで「幻視日記」をつけ始めたのです。最初は文字だけだったのですが、それではわかりにくいので絵も描いてみることにしました。
不思議なものの絵なのですが、三橋さんの絵はユーモラスで、こういう不思議なものが見えていることを、半ば楽しんでいるような感じがします。たまに怖いものを見ることもあるのですが、これは幻視だと言い聞かせると、すぐに消えるそうです。
三橋さんの幻視の記録に注目した方がいて、認知症の早期発見に役立てるために書籍化しないかという話が持ち上がり、この本ができたのです。
認知症になると、もう働けないとか、コミュニケーションがとれないとか思われがちですけど、必ずしもそうではないこと、早期に発見すれば進行を遅らせることができることを世間の人たちに知って欲しいと三橋さんは願っています。彼自身、趣味の会のお仕事を続けているし、日常生活に不便はほとんどないそうです。
この本を通じて、自分にも似たような症状があったら、すぐに受診して欲しいと三橋さんはおっしゃっています。認知症によって、これまで体験したことがないようなことが起きるのですが、そう言うことが起きると知っているだけでも、ずっと気持ちが軽くなるし、家族の負担が軽くなるということも知って欲しいそうです。
三橋さんの場合は、歩幅が狭くなったり、車の運転が以前よりも下手になっていることは自覚していたそうです。そういうことも認知症の前兆だったのだと、後になって気づかれたそうです。
これからの時代、殆どの人が認知症になると考えていた方がいいと思います。ですから、そのための準備として、こういう本の存在は大事です。
この本で紹介されていた本
・幻覚の脳科学──見てしまう人びと オリバー・サックス
参考書籍
・誤作動する脳
・ねぼけノート
3361冊目(今年335冊目)
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