『台湾の少年 2 収容所島の十年』 游珮芸、周見信 24-323-3349
台湾の少年 2
Son of Formosa
収容所島の十年
游珮芸(ゆう はいうん Pei Yunyu)
周見信(しゅう けんしん zhou_jianxin)
倉本知明(くらもと ともあき) 訳
岩波書店
台湾
蔡焜霖(チウァ・クゥンリム)は憲兵に捕まってしまい、厳しい尋問を受けます。自分が何故捕まったかもわからないのに、殴られ、蹴られ、何だかわからない悪いことをしたと自白書を書かされてしまいます。そして刑務所に送られ、そこでやっと自分の罪状がわかりました。「反乱組織へ参加し、反徒たちのためにビラを撒いた」という罪名で、「台北電信局支部事件」の一部として、懲役十年の刑が決まったのです。
最初は台湾内の刑務所でしたが、余りに多くの人間を逮捕したために収容する場所が足りなくなっていました。そして、焜霖たちが船で連れてこられたのは、かつて火焼島と呼ばれた緑島でした。太平洋の小さな島なので、ここなら脱獄不可能と考えられ、多くの政治犯がここへ送られてきたのです。
焜霖が捕まってから8か月経っていました。でも、島に来てから環境はだいぶ良くなりました。初めて足を延ばして寝られるようになったのです。
家族からの手紙が届くようになりました。いつも涙なしには読むことができません。でも、ここで耐えるしかないと心を決めた焜霖は、必死に働きます。刑務所内では何の情報も得られないので、仕事で港へ出かけた時には、そこで見た新聞の内容を覚えてきて、同胞たちに伝えました。
ただの学生だった焜霖が捕まるなんて、それはただの冤罪です。刑務所の中は、彼と同じように捕まってしまった人ばかりなので、もめごとなどは起きません。それだけが救いだったのかもしれません。
自分の手柄のために無実の人を捕まえたり、殺したりする人が世界中にいるのですね。それがどんなに愚かなことなのか、わからない人たちが、今も同じようなことを続けています。人間とは、なんと愚かな生き物なのでしょうか。
3349冊目(今年323冊目)
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