『毎月新聞』 佐藤雅彦 24-320-3346
この本は1998年~2002年に書かれた文章をまとめたものです。20年以上前の日常を捉えて書かれている文章なので、なんだか懐かしい話が色々と登場します。佐藤さんの作品「だんご3兄弟」とか「バザールでござーる」は可愛いキャラでしたね。「2002年4月からピタゴラスイッチが始まります」というお知らせを見て、わぁ、あの番組は20年以上続いているんだってビックリです。
世の中を他の人とはちょっと違う視点で見ている佐藤さんが指摘する事柄って、なかなか考えさせられてしまうことが多いのです。例えば「文字が出す騒音」には思わず「なるほど!」と呟いてしまいました。
声帯手術を受けたばかりの人間は、医師から声を出すことはもちろんのこと、本を黙読することさえも禁止されるという。それは、目から入る文字情報が脳で何らかの処理をされ、そこで止まらずに、更に無意識のうちに何らかの指令がのどの筋肉や声帯に漏れ伝わるからではないだろうか。つまり声を出さ卯とも声帯にいい影響を与えない、ということなのだろう。
音がうるさいという感覚と同じように、文字がうるさいという感覚を私たちは持っているんですね。町を歩いていて目に入る看板、電車の中の吊り広告、更に今は、スマホへどんどんプッシュされてくる情報も、確かにうるさいです。
「テレビを消す自由」で、見たい番組が終わったら、テレビをすぐに消していたお母さんはエライと佐藤さんは褒めてますけど、それと同じように、必要がないときには情報源を断つことって大事だと改めて思いました。そうせずに、ずっとうるさい状態で生活していたら、そりゃ疲れますよね。
2001年12月の「ミニ予禄」コーナーで「銀座のイエナ書店が来月閉店。大ショック。」という文章に、「そうだった!」と思わず頷いてしまったわたし。高校生の頃から、銀座へ行ったら必ずこの書店へ行って洋書を眺めていたんです。ここへ行くと外国の空気が吸えるような気持ちがする、大好きな書店だったなぁという思い出に浸ってしまいました。
各号に掲載されている3~4コママンガの「ケロパキ」も楽しいです。
筒の周りを測って、筒の直径を測って、円周を直径で割ると3.14になる話や、紙で三角形を作り、3つの角をちぎって並べ、三角形の内角の和は180度であること体感する話は、とってもいいなぁ。理屈では分かっていることでも、実際に自分がやってみることで、本当に理解できるようになる。こういうことが本当の勉強だなって思いました。
3346冊目(今年320冊目)
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