『新書へのとびら 第1部 現代新書はいかにして現代新書になったのか』 魚住昭 24-347-3373
・岩波新書は英国のペリカンブックスをモデルにしてできた。
・講談社系の光文社のカッパ・ブックスの大躍進
戦後、講談社から別れて独立した光文社は、講談社的発想を受け継ぎながら戦後の状況に反応してカッパを作り、岩波新書と対抗する地歩を築いてきた。
・(当時の岩波新書には)僕ら編集者でも最後まで読み通せない本が少なからずあったんです。そのぐらいその頃の岩波新書は学術色が強くて、硬かった。そこで僕らは、原稿にどんどん注文をつけようと決めましあ。一般の人が最後まで読み切れない本では意味がない。原稿をもらって終わりではなく、分かりにくいところは徹底的に書き直してもらおう、と。
「こんなのもわからないのか!」と怒りだす先生もいたけど、こういうことをキチンとやるとものすごく喜ぶ先生もいましたね。
・そこで白羽の矢を立てたのが、のちにグラフィックデザイン界の第一人者となる杉浦耕平氏である。杉浦は当時まだ30代後半だった。加藤は渋谷の杉浦事務所を訪ね、現代新書の装幀一新を依頼した。
「(現代新書を)若い世代の人たちにもっとオープンにしたい。新書のイメージをもう一歩前進させたい」という強い意志を感じたという。
・同年秋に出来上がった装幀は、以後33年間、現代新書の顔になる。クリーム色の地に、柔らかい感じの太明朝体、80級という大きな文字でタイトルが縦書きにレイアウトされた。内容紹介のネーム(簡単な説明文)が表に入り、カラーのイラストが表紙と背に配された。書店の平台に初めて並べられたとき、「まるでアゲハ蝶が舞うようだ」と評されたように、華麗にして斬新、他に類を見ないデザインだった
・単行本の再録である。それまでの新書は書き下ろしが原則だった。
・大変目立つし、何よりもきれいということで、今まで奥の目立たないところに置かれていたものが、現金なことに、入ってすぐの目立つところにバーッと置かれた。しかも新刊だけじゃなく既刊本も。他名指しだけじゃなくて、面陳というんですか、表紙を見せて陳列してもらえるようになって営業的にも上向きになりました。
講談社が新書を作ろうと考え始めた頃、新書の王は岩波新書でした。その圧倒的な存在にと同じようなことをしていては対抗できないません。岩波がアカデミックな世界を相手にしているのなら、講談社では一般の人向けに新書を作ろうと考えたのです。ですから、著者の方に、もっとわかりやすい表現に変えてくださいとお願いして、怒られてしまったりしたこともありました。それでもわかりやすいこと、読みやすいことを主眼に置いて本を作っていったのです。
しかし、面白い内容の本を作っただけでは、本は読者へ届きません。どうしたら、この本の存在に気づいてもらえるのか? それが問題です。
そこで、若いデザイナー杉浦耕平氏に装丁を依頼したことは、その後の新書の常識を変えたのです。あのクリーム色の装幀は斬新でしたね。これまで新書=地味というイメージが一新されました。カラフルなデザインになったことで、書店員さんの気持ちにも訴えかけたのでしょう。店の奥の方の棚ではなく、目立つところに、それも面置きで並べられたのですから、当然売れ行きも伸びました。
「本は中身さえ良ければいいのだ」というそれまでの概念を変えて、「思わず手に取りたくなる装幀デザイン」にしたところが、講談社現代新書が躍進した秘密だったのです。そして今は、他社の新書も装幀デザインに重きを置いています。
新書は、そのサイズや文章量が、コンパクトで持ち歩くのに便利でしたから、それもよかったのでしょう。
講談社新書が表舞台に出るようになった秘密がとてもよくわかりました。
#新書へのとびら講談社現代新書創刊60周年 #NetGalleyJP
https://60th.gendai-shinsho.jp/#trivia ←このページからPDFファイルをダウンロードすることができます。
3373冊目(今年347冊目)
« 『BANKSY IN NEW YORK』 Ray Mock 24-346-3372 | トップページ | 『11/22/63 上』 スティーヴン・キング 24-348-3374 »
「新書」カテゴリの記事
- 『ゾルゲ事件80年目の真実』 名越健郎 26-274-4033(2026.09.28)
- 『グリム童話 メルヘンの深層』 鈴木晶 26-263-4022(2026.09.18)
- 『2030来たるべき世界』 エマニュエル・トッド 26-236-3995(2026.08.22)
- 『おどろきの刑事司法 “犯罪者”の作り方』 村木厚子 26-173-3932(2026.06.22)
- 『「若者の読書離れ」というウソ』 飯田一史 26-153-3912(2026.06.02)
「日本の作家 あ行」カテゴリの記事
- 『どろぼうジャンポリ』 阿部結 26-278-4037(2026.10.02)
- 『傘寿まり子 12』 おざわゆき 26-280-4039(2026.10.03)
- 『傘寿まり子 11』 おざわゆき 26-279-4038(2026.10.03)
- 『色ざんげ』 宇野千代 26-285-4044(2026.10.08)
- 『銀座「四宝堂」文房具店 7』 上田健次 26-272-4031(2026.09.26)
「NetGalleyJP」カテゴリの記事
« 『BANKSY IN NEW YORK』 Ray Mock 24-346-3372 | トップページ | 『11/22/63 上』 スティーヴン・キング 24-348-3374 »




コメント