『The Drinking Gourd』 F.N. Monjo 24-345-3371
Tommyは教会での時間が退屈過ぎて、遊んでいるうちに大騒ぎを起こしてしまいました。父親から叱られ「ひとりで家に帰っていなさい」と言われてしまったんです。家にもどっても誰もいないので納屋で遊んでいたら、干草の中に誰かがいるのを見つけました。
そこには黒人の家族が隠れていたのです。話をしてみると奴隷として暮らしていた場所から逃げる途中であることが分かりました。そこへ父親が帰ってきて、Tommyは初めて父親が彼らの逃亡を助けているということを知りました。
夜空を見上げると「The Drinking Gourd」(北斗七星)が見えるだろ、それを目印にしてカナダへ行くんだ。そうしたら僕らは自由になれるんだ。
Tommyは、黒人の少年から教わりました。そして父親と一緒に、彼らを干草の中に隠した荷馬車を走らせたのです。
この本を読んでショックを受けました。アメリカの奴隷制とは実に冷酷なものなのです。奴隷として売買された人たちは人間ではなく、家畜あるいは道具として扱われていました。ですから生活環境は劣悪でした。当然、そこから逃げ出そうとする人が多くいたのです。南北戦争後、北部では奴隷制は無くなったので、そこを目指して逃げる人が増えました。
それは困ると考えた南部の人たちの力によって、1850年に「逃亡奴隷法」が設定されました。それは、奴隷制が実施されていない州に逃げたとしても、逃亡奴隷の捕獲ができるものだったのです。それによって、逃亡奴隷の指名手配書を手にした保安官や賞金稼ぎが追いかけてくるのです。ですから、国境を越してカナダあるいは、当時まだ英国領だった土地まで逃げなければいけなくなったのです。
白人の中にも、奴隷制に疑問を持つ人たちがいて、彼らが逃亡の手助けをしていたのです。Tommyの父親も、彼らを逃がすための「underground railroad」の一員だったのです。
アメリカには奴隷制があったということは知っていても、こんなことがあったなんて知りませんでした。こういう歴史があって今があるのだけれど、まだまだ本質的なところは変わっていないのだと感じる、昨今です。
3371冊目(今年345冊目)
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