『地獄へ行こか青江へ行こうか』 青江忠一 25-17-3413
昭和の時代に11PM(いれぶん・ぴーえむ)という番組がありました。月・金は大橋巨泉、水は愛川欽也、火・木は藤本義一が司会で、大人のエンターテインメント、とりわけお色気系の内容が多かったので、PTAから目の敵にされていた番組でした。
大橋巨泉担当の日に、時々出演していたのが「青江のママ」です。わたしは「女装した男の人ね」とは思いましたけど、それよりも「高そうな着物を着てるなぁ」という方が気になってました。とにかく高級クラブのママという風格がありました。
銀座ライオンの裏に、ブランスィックというお店があったのね。一階が喫茶店になっていて二階がバーになっていたの。
一見して何の変哲もないようなお店だけど、”ソノ道”のひとにとって有名だったのよ。美輪明宏がボーイをしていて、客では三島由紀夫とか坂本澄子の元亭主とか有名人顔を出していましたね。この店に集まるのは、ハイクラスのゲイやホモだったわね。今でもお友達として付き合っている何人かは、ここで知り合ったの。この店、三島由紀夫の”禁食”のモデルにもなったのよ。P141
「複雑な彼」のモデルだった安倍譲二さんが用心棒をしていた銀座のお店ってどこだろう?と思ってこの本を開いたのですが、青江のママも通っていたブランスィックというお店だったんですね。このお店は三島由紀夫の「禁色」に登場する「ルドン」のモデルだったそうです。
青江のママは自分の性癖のことを子ども時代から遡って語っています。小さなころからきれいなものが好きで、野蛮なことは大嫌い。お友達は女の子ばかり。小学校の先生からも「お嬢さん」と呼ばれていたくらいで、周りもこういう子なんだと納得していたようです。
大正13年生まれだから、本当はイヤだったけど兵隊さんになったという話、こういうのってなかなか聞けない話です。戦後、サラリーマンになったけど、やっぱり違う!ということで青江さんは水商売に転職したのです。
自分のお店「青江」で、多くの子たちを育ててきたんだけど、とってもスパルタだったんですって。だから日本中どこへ行っても「以前、青江にいました」といえば、即採用してもらえるのが自慢だそうです。
いろいろなところに支店を出したのだけど、一番すごいのが「パリ」! そこの店長はカルーセル麻紀さんに任せていたんですって。彼女のことは、最初に会ったときから、この子は特別だと思ってたようです。
カルーセル麻紀のように性転換手術するのも、自分のように整形手術はするけど身体にはメスを入れないというのも、それぞれの生き方。自分はマイノリティであると自覚はしているけれど、でも失礼なことをいうヤツは許しておかない!という青江のママ。
そして、好きな男を見つけたらとにかくアタックするというところ、好きな男にはとにかく貢ぐというところ、笑っちゃうくらい自分に正直な彼女は、一本筋が通った立派な方なんだと思いました。
3413冊目(今年17冊目)
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