『世界秩序が変わるとき』 齋藤ジン 25-35-3431
斎藤さんは大学を出て、大手都市銀に勤めていました。銀行という会社システムに疑問を感じて辞めようとしたとき、上司に「もう少し中でがんばって、組織を変えていかないか?」と引き留められました。
「組織を中から変えろ」とは日本の会社でよく言われますが、私には意味がわかりませんでした。ドラマのように若手が組織を変えられることなどありません。組織内で力を得るために30年くらいかかるでしょうが、組織は今、目の前で腐って死にかけているのです。少なくとも私には、ビジネスモデルに欠陥を抱えた銀行に30年も人生を捧げる価値を見出せませんでした。P108
アメリカに渡り、大学で勉強し直し、投資コンサルタントを経て、現在はオブザーバトリー・グループというコンサルティング会社の共同経営者をされています。
そもそも私は幼少期からシステムについて疑問を持つタイプでした。性的マイノリティの自覚があったので、「なぜ、既存システムは自分を受け入れないのだろうか」、「もしかしたらシステムの方が間違っていることはないのか」、それを問い続けていたので、システムを疑問視する習慣がついているのだと思います。P132
他人とは違う視点を持っているところが斎藤さんの強みです。
例えば金融破綻の時、「日本は戦後、一度もデフォルト(債務不履行)させていないから、処理や救済をするシステムがない」ということに気づきます。これに対応する法整備には時間がかかる。つまり、このままだと連続倒産が起きると予測できたのです。それを知ったアメリカの投資家は大胆な円売りを行いました。
オブザーバトリーの場合、マネーの運用は一切していません。あくまで政策・政治と市場のネクサスを分析し、それに対してコンサルティング料金を受け取る形式です。実際にお金を運用すると、どうしても色眼鏡で物事を見てしまいます。人間誰でも見たいものを見る傾向がありますが、お金が絡むとそれに拍車をかけてしまいますから。P148
(ヘッジファンドのオーナーたちは)私たちには見えないものが見えているのではないかと思わせる人見ます。ADHD(注意欠如・多動症)や、ハイファンクション(高機能)自閉症を思わせる人もいますし、それを公言している人もいます。
もっとも、私も変わっているので、彼らに好かれているのかもしれません。P156
2012年の9月末、私はソロスの”右腕”であり、CIOを務めるスコット・ベッセントからオフィスに来るように言われました。訪れると、彼の後ろには何十人というポートフォリオ・マネジャーが勢揃いしています。私の書いた「日銀改革と日本の転換点」に関するレポートに興味を持ったのです。P169
そして、ソロスは大胆な円売りを決断したのです。
そのスコットは、「トランプ2.0」で財務長官になることが決まっています。スコットはゲイであることをオープンにしており、議会で承認されれば、共和党としては初めてのLGBTQコミュニティの官僚になります。P171
熱烈なトランプ支持者がスコットの財務長官指名に強い不満を示していることは容易に理解できます。P172
「性別は男女だけ」と言い放ったトランプ大統領ですから、その下で働くスコット・ベッセント財務長官の動向に、興味が湧きます!
私はトランプ現象が新自由主義の終わりの始まりだと直感しました。P262
台湾有事が発生すれば、ドル決済から中国を締め出す準備はできている、という話は、ある関係筋から聞いたことがあります。ワシントンの情報筋の間では知られているものの、一般メディアでは知られていないというレベルの話だと思います。逆に考えれば、わたしが知っているのであれば、中国政府は間違いなく知っているでしょう。
つまりこの話は経済抑止の一環なのだろうと、私は理解しています。P311
現状に当てはめると、アメリカはプーチンと手打ちをし、ロシアのメンツが立つ形でウクライナ戦争を終結させれば、中ロの協力体制は一気に弱まるので、アメリカはちゅごくに専心できるという考え方になります。また中央情勢を安定させるうえでも、ロシアをひっぱりこめば、アメリカはかなり楽になります。P394
金利・賃金という市場メカニズムを使うことで、競争力のある企業に労働力とマネーが流れることを推奨すると同時に、官を縮小し、外国人労働者を増やす。これはすなわち、新自由主義の時代に日本ができなかったことです。
丸々一周遅れなのですが、日本はこれから新自由主義的に市場メカニズムを使った構造改革をすることになると思います。P413
過去30年間、新自由主義でやってきて、この短い間に、富の格差が異常なレベルにまで広がる、移民が急速に増える、人口構成比率における白人のシェアが低下する。LGBTの権利保護が法制化される、アメリカ社会の屋台骨だったキリスト教文化が廃れていく・・・。それだけの激変がたかだか、一世代の時間軸で発生するとなると、アメリカとは何なのか、何がアメリカ人なのか、そうしたソウル・サーチング(自己の再確認作業)が必要になっていくのでしょう。P92
3431冊目(今年35冊目)
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