『そういうゲーム』 ヨシタケシンスケ 25-56-3452
わたしたちはいつも、無意識のうちにゲームをしています。横断歩道の白い所だけをふんで歩こうとか、今日は傘が必要になるのかなぁとか、あの人よりわたしの方がちょっと美人だと思ったり。
世の中のみにくいぶぶん、きたないぶぶんを
見ないままで どこまで大きくなれるのか。
そういうゲーム。
わたしね、最近気づいたんです。嫌なことに関して、割と鈍感だったってことに。
高校の時に、クラスに嫌な女子がいたんです。何でもかんでも「わたしの言うことを聞け」ってタイプでね。どっちでもいいことは同調してたけど、それ以外は知らんぷりしてた。だから、クラスのはじっこにいる女子グループという立場でした。
専門学校の2年生のとき、放課後に作業をしていたら、そいつが突然教室にやってきて「ちょっと来て」というんですよ。彼女が同じ学校の別の学科にいるなんて知らなかったからビックリですよ。とりあえず彼女の教室までついて行ったら、「この課題が終わらないと帰れないから、やって」というんです。「手伝って」じゃなく「やって」。わたしは「ヤダ!」と言って、自分の教室に帰りました。その時に気がついたんです、わたしはあいつのこと、こんなに嫌いだったんだって(笑)
何十年も経ってから「あいつはあんな奴だったのか!」とか「わたし、酷いことしてきたなぁ」なんて思うことがたくさんあります。でもね、そういうことに、いちいち考え込まないで来られたから、今でも生きていられるんだと思うんです。
大失敗しても、しにそうなめにあっても、
あらゆるものが こわれてしまっても、
大好きな人がいなくなっても、
ひとりぼっちでも、
自分がきらいでも、
意外とどうにかなる。
そういうゲーム。
この本のどのページを開いても、そうだよね、そうだよねって思います。
時々胸が痛くなります。涙がこぼれそうになります。そんなことも、あんなこともあったよね。ずっと忘れていたことを思い出しました。
自分が「正解」の側に
いないことのさみしさに、
かわいい服をきせてあげられたら かち。
そういうゲーム。
ヨシタケシンスケさんは、やっぱりすごいわ。この本にもガツンとやられてしまいました。
3452冊目(今年56冊目)
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