『光っていません』 イム・ソヌ 25-33-3429
自分との関係って難しい。あの人は不得意だと思っていた人が意外といい人だったり、恋人や夫を愛していると思っていた自分の気持ちが薄れているのに気がついたり。どうしていいのかわからずオロオロする自分の気持ちに自己嫌悪したり。
人生なんて、突然意外なことが起きるもの。どうして変わっちゃったの?と嘆いてみても、変わったのは相手じゃなくて自分の方だったりする。でも、それに気づけたときに肩の荷がスッと下りるんじゃないかな。
クラゲに刺された人がクラゲになってしまう(光っていません)なんて、とんでもない話なんだけど、本当だったらいいなって思ったりもする。そうやって人間ではないものになれるのだとしたら、それを望む人がけっこういるんじゃないかな?人間でいるのって大変だもの。もういいやって思う人がいてもいいじゃない。
韓国でも日本でも、病んでいる人が増えてるのかな。どこかへ逃げたいという気持ちが、そこかしこにあって、頑張らないで逃げちゃえって思えた方が幸せなんだって思えてきた短編集でした。
・幽霊の心で
植物状態になってしまって病院にいる恋人に、休みの日に会いに行く。手を握って話しかけても、体温はあるけれど返事はない。
・ 光っていません
クラゲに刺されてしまった人がクラゲになってしまう。最初は事故だったのだけれど、このクラゲを使って死のうとする人がいる。
・ 夏は水の光みたいに
恋人にフラれてしまった男は、彼女が元住んでいた家で木になってしまった。
・見知らぬ夜に、私たちは
不妊治療をしているわたしは、病院の近くで、学生時代に同級生だった子を見かけた。
・家に帰って寝なくちゃ
チョが飼っていたヤモリが逃げ出してしまった。アパートの上の階に住んでいる男から、その部屋にヤモリが出たと電話がかかってきた。
・冬眠する男
冬眠するから埋めて下さいと依頼されたのだけど、本当にそんなことをしていいのか悩むわたし。
・アラスカではないけれど
対人関係は上手くできないけど、猫たちとはうまくやって来たわたし。
・カーテンコール、延長戦、ファイナルステージ
わたしは事故で死んだらしい。幽霊になったわたしは、急死したもの限定で、この世から消えるまでに100時間の猶予をもらった。
3429冊目(今年33冊目)
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